MIT留学生が占い教室に

Leibniz「まったくの初心者ですが、四柱推命を習いたいので、是非とも“弟子”にして欲しいのですが~」――昨年末、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MITと呼ぶそうです)に留学中のF君が、『きらら館・占い教室』の門を叩きました。女子学生の訪問は結構多いのですが、男子学生で、しかも将来の日本を背負って立つかもしれない名門大学に籍を置く秀才クンは初めてです。

「さて、どうしたものか?」――学生時代といえば、占いはともかく、日舞とバレーに熱中。それ以外は「凡なるを以って善」としてきた私の戸惑いをよそに、F君は「帰国以来、何ヶ所も占い教室のHPを見ましたが、直感で「良さそうだな」と思い、『きらら館』に決めました。明後日までしか東京に滞在できないので、その間に四柱推命の基本原理だけでも教えてください。細かいことはアメリカに帰って勉強するつもりです。お願いします」と何度も頭を下げます。

いやはや、息子?否、場合によっては孫?の年齢のF君に必死の形相で懇願されては、私も断る言葉が見つからず、とうとう根負け。受験勉強では引けをとっても、占いにかけては私も負けてはいられません。半ば開き直った気持ちで、F君の申し出を受けて教室への参加を承諾したのですが、年末とあって他の生徒さんはお休み。マンツーマンでの勉強になりました。

 その時の勉強風景を再現したのが以下の遣り取りです。

F君「先生、初歩的な質問ですが、まず四柱推命の元になっているのは何ですか?」

きらら「(ムムッ、まるで私が面接されてるみたい?)…四柱推命は、古代中国・周の時代の易学から始まったもので、現在の天文学につながる陰陽五行の思想がもとになっています」

F君「陰陽って?」

きらら「(さながら学校の授業です)…陰はお月さま。陽はお天道様、太陽のことです。太陽とは『陽気の太(はじ)まり』という意味で、その反対の『陰気の素』が月です」

F君「五行とは何ですか?」

きらら「カレンダーの月・火・水・木・金・土・日から、四柱推命では、順番を変えて木・火・土・金・水と言うけど、日と月を除いた5つの惑星の運行のことです。この5つの星の行(動き)に月と太陽の動きを加えたものが陰陽五行なのです」

F君「なぜ、5つの惑星にこだわったのでしょうか?」

きらら「当時の天文学者たちは、この5つの惑星が変わることなく1日に少しづつ動くということを絶対的な『真理』と考え、その動きの謎を一生懸命、研究したのです」

F君「なるほど。地球を中心に考えれば、東洋からでも西洋からでも、この惑星の動きは同じに見えるわけですね。つまり、この世の中で人間が関与なしに一定の法則性を持っているものだけが『真理』というわけですね(フムフム)」

きらら「この5つの星の動き(五行)が、8世紀の中国・唐の時代に李虚中らによってまとめられたのが四柱推命です」

F君「余談ですが、ノストラダムスがまとめたと言われる西洋占星術とはどう違うのですか?」

きらら「両方とも星の動きをもとにしているんだけど、西洋占星術は五行ではなく、中心に置くのが星座なので吉凶の出し方が違ってきます」

F君「そうか。天文学が、占いのもとになっているんですね~。おもしろいなあ」

きらら「それはそうと、F君はアメリカの大学に留学するぐらいだから、きっと優秀なんだなと思うけど、どうして占いなんかに興味を持つようになったの?」

F君「確かに学生時代に優秀だった人間は、ほとんどが『占いなんて非科学的だ!!』って見向きもしません。特に組織のなかにあって、出世競争だけに血道を上げている人たちには、その傾向が強いものです。これは日本もアメリカも同じです。しかし、他とは違う創意工夫を重ね、他人とは違うものを生み出すことを目指している人たちは、意外かもしれませんが、ものすごく占いに興味を持っているんです。僕の担当教授なんか、物理学の権威なんですが、星占いの名人ですよ(笑)。自分の力と頭で道を切り開こうとする人間は、絶対に未来志向でなければ良い仕事なんかできません。そのための道標として占いを活用している研究者は口には出さなくても、アメリカには一杯いますよ。僕に言わせれば、すべてが現代科学で解明できると思っている人間ほど、たいした成果は残していないものです。星の動きという『絶対的な真理』に謙虚に接する――きらら先生のさっきの言葉に、僕は『我が意を得たり』の心境です」(以下続く)

きらら(2/4)