「蟹様のお導き」②

花が咲いた「蟹様」の話とは。

ーーあの時にお伺いした蟹の話は本当に驚きました(笑)

「海底の境界線の話だね、当時は(蟹の)密漁でよくソ連に拿捕されていたのだが、日本の領海には見事なほど蟹はいないのに、ソ連にはわんさか。そりゃあ、危険覚悟で入るのも無理もなかったからな(笑)」

ーーということは蟹は海底に書かれた”境界線”を知っているわけですね。

「俺たちにすれば、そうとしか考えられないわな(笑)」

ーー境界線は蟹だけではなく渡り鳥もそうでしたね。シベリアから飛んで来る鳥は”境界線”を越えるまでは必死だけど日本領に入った途端にホッとしたようにゆったりと飛ぶという話にも感心しました。

「ソ連領内でノンビリ飛んでいると鉄砲に撃たれるからなあ」

――途中で休憩もとらず飛びっ放しなのですから、よくよく考えればニンゲンよりは凄いですね。

「余談だけど、渡り鳥たちは寝ながら飛ぶんだよ」

――エ~ッ!

「脳の半分で飛んで、残りの半分は休ませているから途中で休憩しなくても飛べるんだよ」

きらら(4/22)