『魚肉ソーセージ』

皆さんはアメリカが1954年に太平洋西部のマーシャル諸島で行った水爆実験をご存知でしょうか。
この水爆は広島に落とされた原爆の1000倍以上の威力を持つものと言われており、爆心地から160キロ離れた海上で操業していた焼津港所属のマグロ船・第五福竜丸が放射能を浴び、アメリカの非道な実験に大きな批判が集まりました。
それでもアメリカは、都合60回以上の水爆実験を行ったことで、マグロのみならず太平洋で獲れる魚はすべて放射能魚と敬遠され、漁業は壊滅寸前になってしまいました。
「なんとかせねば…」――こうした絶望的な状況にあって考え出されたのがオレンジ色のビニールで包装された「魚肉ソーセージ」なのです。
見た目が魚の形でなく、斬新なソーセージという商品名がうけたのか、売れ行きもそこそこ、絶望の極にあった漁業に僅かですが「干天に慈雨」的な働きを果たしました。
普段、何気なく口にしている魚肉ソーセージですが、「死の灰」によって”死の産業”に転落寸前まで追い込まれた漁業に投げられた”救いの浮き輪”なのです。

きらら(4/29)