「”中古品”ですが、主人を譲ります!?」
寒の戻り。
靖国神社の桜に開花宣言が出たというのに先週は、まるで真冬の気候でした。
そんな中、「きらら館」には、昨年末から今年にかけて相談に見えた受験生から『サクラ咲く』の知らせが続々と届いています。
残る1人から吉報が届けば、3年連続で合格率は100%。
昨年に続く快挙です。
さて、本日5時の予約は、Aさんご夫妻です。
ご夫妻で見える場合、お産まれになった赤ちゃんの「命名」相談が多いのですが、今日はそんな「おめでたい話」ではないようです。
Aさん「ごめんください」
爽やかな色合いのツーピースのAさんひとり。
ご主人の姿が見えません。
きらら「寒かったでしょう。どうぞ、お座りください。――あのう、お電話ではご夫婦でお見えということでしたが…」
Aさん「そこまで一緒に来たのに照れくさいと言うので、東急百貨店の本屋さんに置いてきました(笑)」
きらら「あらら。――珈琲がいいですか、それとも紅茶。日本茶もありますよ」
Aさん「お飲み物を出してくれる占いって初めてだわ。――じゃあ、珈琲をお願いします」
「ブラックで」とのリクエストです。
Aさん「ホントだ。美味しいわ。これ、どこの珈琲?」
きらら「メキシコ産です。さっぱりして美味しいでしょ」
Aさん「へ~っ、メキシコですか。珍しいですね。飲みやすくて美味しい~」
ひと息ついた後…
きらら「ところで、今日はどんな…」
Aさん「お恥ずかしいお話しですが、離婚の相談です」
外連味のない「直球、ど真ん中」の言葉に思わず言葉が詰まります。
きらら「と、言いますと…」
Aさん「結婚以来、色々ありましたが、今年で35年。別に主人のことを嫌いになったわけではないのですが、子どもたちも独立したことだし、残された人生を幸せに送るために、わたしたち夫婦は別れた方がいいのか、それともこのまま夫婦生活を続けるべきか?――占って欲しいのです」
将来の幸せのための離婚?
Aさん(妻)「先月、子どもたちが私たちの珊瑚婚式を祝ってくれた翌日に、主人に15年近くもお付き合いのある女性がいることが分かりました」
その女性は、Aさんよりひと回り下の年齢で、お子さんはいらっしゃらないとのこと。
Aさん「裏切られていたショックで怒り狂ったし、食事も喉に通らないほど腹も立ったのですが、お相手の方は病弱で、ご両親も既に他界。主人だけが頼りの身です。冷静になって考えれば、わたしは愛情面でも、経済的にも、主人には十分すぎるほど大事にされましたし、生意気な言い方かも知れませんが、これからの主人の人生は、”中古品”でちょっとくたびれてますが(笑)、その方に譲って…ひとりになったら好きな日本画でも描きながら余生を送るのもいいかなって思うようになって…」
この種の”事件”の場合、大抵は大騒ぎするところなのに、Aさんは心が広すぎるというか、何か悟りきったような感じです。
Aさんご夫婦と、その女性の生年月日をお伺いして念入りに鑑定させて戴きました。
きらら「独立されたお子さんたちは、このことをご存知なのですか?」
Aさん「はい。『親父もやるなあ』って笑ってましたが、最後は『たとえ別れても俺たちにとって親父は親父だし、母さんは母さん。ふたりでよく相談して決めろよ』と、相手にされませんでした(笑)」 (続く)