「月に1度のお墓参りデート」

日本は亜熱帯になったのかしら?

そんな気がする毎日です。

御年92。
Kさんは「きらら館」の最年長のお客さまです。

背筋をシャンと伸ばし、杖なしでスタスタ。
見た目は70歳台?
いや、見方によっては60歳台にも見える“若さ”溢れるお婆さまです。

「暑くなったわね。元気?」

「はい、おかげ様で。Kさんもお変わりないようで何よりです」

ご主人が亡くなって30年。
お子さんが3人。
お孫さんが6人に曾孫さんが2人。

2人のお孫さんと曾孫さん2人のお名前はわたしが命名。
今ではすっかり自称・Kさん家族の一員ですwww。

「今日は別に相談することはないんだけど、きららさんの顔が見たくて…」

「はいはい、どうぞゆっくりしてください」

いつものようにKさんの大好きな日本茶を淹れます。

「静岡の新茶です。どうぞ」

「色がきれいだし、美味しいわね、新茶は!」

しばし日本茶談義が続きます。

「今日はお父さんの月命日でね」

Kさんは、毎月、雨が降っても、風が吹いても、暑くても、寒くても、ひとりでお墓参りに行って、ご主人とお話しするそうで、以前、「お墓で何をお話しされるんですか?」と聞いたことがあるのですが、「子どもたちのこと、孫たちのこと、そして曾孫たちのことを遂一、報告するのよ」と、嬉しそうな顔でお話になっていたことを思い出しました。

「今日はどんなことを報告されるんですか?」

「来月、孫がアメリカの会社に転勤することと、曾孫のひとりが、きららさんの勧めで剣道を始めたことを報告しようと思って…」

そうなんです、わたしが剣道を勧めたのです。

「お墓の前に座って、ブツブツ言っている変なお婆さんがいるって思われることもあるみたいだけど、大好きだったお父さんと月に1度のデートをしてるんだもの、へっちゃらよwww」

どこまでも明るいKさん。
この「明るさ」こそが、健康で長生きする秘訣かもしれません。

きらら(5/21)