『善因善果』
敬老の日。
60歳を越えると「おじいちゃん」「おばあちゃん」と自然に呼んでいたのが、つい最近のような気がするのですが、100歳以上の老人が6万7000人以上とか。
毎年、敬老の日に『きらら館』に足を運んでくれるAさんは今年で米寿。
かれこれ10年になるでしょうか。
Aさんとは、偶々、帰郷の際に『あずさ号』で隣り合わせになって以来のお客様です。
そのAさんからの連絡が、今年はまだありません。
ひょっとして体調でも崩されたのでは?
そう案じていたところへ、Aさんから弾んだ声の電話。
「今年は、冥途の土産に孫の招待でハワイに来てるのよ。帰国したら、その足で寄りますからね」
「はい、はい。十分に堪能してきてください。お土産話を楽しみにしています」
Aさんのお孫さんは6人、曾孫は8人。
(そのうち曾孫のお二人は、わたしが命名させて戴きました)
10年ものお付き合いになると、占いというより、ほとんどが近況報告に近い世間話ばかりです。
とはいえ、若い時に教師をしていたからでしょうか、政治・経済・社会問題とジャンルは無限。
90歳を越えたおばあちゃんとは思えない深い知識に、わたしは専ら聞き役。
まるでマンツーマンで授業を受ける出来の悪い“生徒”のようです。
Aさんの人生も、今は亡きご主人の女性問題とか、姑さんとの葛藤など、すべてが順風満帆だったわけではありません。
今は笑い話として片づけられることでも、当時はさぞかし心を痛めたに違いありません。
そんなAさんの座右の銘は『善因善果』。
字の通り「善い行いには善い果報がある」という意味です。
「わたしはね、幸福はその人自身が招くものと思ってるの。幸福がやってくるのに決まった入口があるわけではなく、何があっても、挫けず、弛まず、善い行いをしていれば、幸福は自然にやってくるものよ」
Aさんが、いつも帰り際に口にする「締めの言葉」です。
人生万歳!
Aさん、いつまでもお元気で!