「告白は4ヶ月後?」
3月は晴れの卒業式のシーズン。
それもコロナ騒ぎで在校生、来賓、父兄も列席しない味気ない式に。
仕方ないこととはいえ寂しい限りです。
「こんにちは。予約していないのですが、鑑定してもらえますか」
「はい、1時間ほどなら大丈夫ですよ」
オーラがいっぱい、見とれてしまいそうな可愛いお嬢さんです。
年齢は20代半ば?
「どうぞ座って。――珈琲がいい、それとも日本茶、ルイボスティもあるわよ」
「嬉しいなあ。占い館で珈琲を戴くなんて初めてです」
とっておきの珈琲豆をゴリゴリ挽いて、お湯の温度は83度の珈琲をお出しします。
「何事もリラックス、リラックス。――もちろん時間にはカウントしないから、ゆっくり飲んでね」
「美味しい~。珈琲は大好きなので、幸せな気分です」
「ところで、今日は何の相談かしら」
「恋愛問題です。好きな人が出来たのですが、なかなか言い出せなくて…」
ふたりの生年月日をお伺いして鑑定開始。
「相性はピッタリだわよ。知り合ったのは去年の暮れあたり?」
「はい。12月の初めです」
「ふたりには11月から💛星が回って来ているし、タイミングは申し分ないわね。――彼は真面目で優しいし、ちょっと我儘なあなたを優しく包み込んでくれる包容力もあるし…」
「わたしが好きなことは知ってるくせに、手をつないでくれたこともありません。デートをしてもディズ二―・ランドや八景島シーパラダイスなど遊園地巡りばっかりで、それ以上のアプローチがないんです。ホントはわたしのことを好きでないんじゃないかと…」
「あなたはお婆ちゃん子?」
「はい。父も母も医者なので子どもの頃は、ずっとお婆ちゃんが母親代わりで育ててくれました」
昭和の時代を彷彿とさせる、なんとも微笑ましいふたりです。
「彼もあなたのことを大好きなことは、わたしが保証します。思い切って自分から告白するのもひとつの方法ですが、ふたりのあまりの相性の良さを考えると、このまま自然に任せてお付き合いする方が、より愛情が深まると思います。あなたはじれったいでしょうが、もうしばらく、そうね4ヶ月ぐらい待っていれば、彼の方から『好きです』って言ってくるから…」
「うわっ、そうですか。嬉しいなあ。じゃあ、どんな風に告白してくれるか、4ヶ月待ってみようかな」
「もし、4ヶ月経っても何も言わなかったら、わたしがペンペンしてあげるから、彼を連れて来なさいよ(笑)」
「は~い。ワクワクしながら待ちま~す」