「終着駅は始発駅!」
春らしくない不順な天候の毎日です。
グズグズしたお天気を繰り返しながら、このまま初夏に突入するのでしょうか。
先月某日、冷たい雨の降る夜でした。
もう、そろそろお終いにしようかなと、お掃除を始めた時です。
「予約をしていないのですが、お願いできますか?」
消え入るような声で入って来たのが、Fさんでした。
きらら「アララ、どうしたのびっしょり濡れちゃって。 傘持ってないの? 風邪引いちゃうわよ。 暖房入れるから、さあ、タオルで頭を拭いて」
Fさん「ありがとうございます」
Fさんの顔面は蒼白、今にも倒れそうです。
きらら「珈琲飲む? それよりレモンティーにする?」
Fさん「すみません。紅茶を戴きます」
きらら「農薬をほとんど使ってないレモンだから美味しいし、齧っても大丈夫よ」
Fさん「フ~ッ。身体に沁み入るようで、とっても美味しいです」
ひと息ついて、ようやく血の色が戻って来ました。
きらら「一体、どうしたの?」
Fさん「今日はわたしの誕生日なのに、1時間前に彼にフラれたんです。もう生きているのが嫌になって…。トボトボ歩いていたら、『きらら館』の看板が目に入って…」
きらら「たかがフラれたぐらいで自暴自棄になっちゃ駄目よ。今夜、お会いしたのも何かのご縁、嫌なことを思いっきり吐き出して帰ってね」
Fさん「はい。でも、彼とはもう2年もお付き合いして、正式な婚約こそしていなかったものの、来年には結婚しようと約束していたのに、選りにも選って、誕生日に『別れて欲しい』だなんて、ひどすぎと思いません(泣)」
まずは、Fさんと彼の生年月日をお伺いして鑑定開始。
きらら「彼と知り合ったのは、2年前の某月の中旬でしょ?」
Fさん「そうですけど、どうしてそんなことが分かるんですか?」
きらら「それより、彼とは結構、背伸びしてお付き合いしていたんじゃないかしら? 辛くなかった?」
Fさん「はい(泣)。でも、彼は一流企業にお勤めしているし…」
きらら「どこにお勤めしていようと、あなたが結婚するのは『会社』じゃないでしょ」
Fさん「それはそうですが…(泣)」
きらら「ハッキリ言うわよ。彼と出会った時期も×だし、ふたりの相性は最悪のパターン。人生の伴侶として、彼は最もふさわしくない人間と、わたしは断言します!」
Fさん「…(泣)」
きらら「別れて正解よ。いつまでもメソメソしないで、今日から新しい一歩を踏み出すべきよ。自分では気が付いていないかもしれないけど、あなたは、自分は一歩下がって、相手に尽くすことで喜びを見出す“内助の功”タイプだから、決してお世辞じゃなく、そんなFさんを袖にする彼には、あなたは勿体ない女性。もっと自分に自信を持たなきゃ。『終着駅は始発駅』――来年には、Fさんの良さを100%分かってくれる男性から告白されるから、クヨクヨしちゃだめよ」
Fさん「本当に現われますか? いつですか?」
きらら「今年の秋、そうね10月の終わりごろかな。薄情な彼のことなんかさっさと忘れて、その日まで、しっかりと自分を磨かなきゃ…ね!」
Fさん「はい!」
きらら「くどいようだけど、結婚するのは『会社』云々じゃないのよ。計算じゃなく、あくまで結婚は『人物本位』なんだから…」
Fさん「はい。ピカピカになるまで自分を磨きます!」
きらら(4/20)