「凡庸な成績優秀より個性ある生き方の時代」

♪春よ~来い、早く来い~♪

コロナにウクライナ、何かと騒がしいのに…

自然はしっかりと春を運んで来てくれました。

午後一番のお客さまは、北関東某県からお見えのNさんです。

「いらっしゃい。寒かったでしょ、どうぞお座りください」

有機栽培の紅茶をお出しします。

「いただきます。――でも、わたしの住んでいるK市に比べれば温かく感じますよ」

ひとわたりコロナ談議。

「ところで今日はどんな…」

「今年、大学に進学するひとり息子の進路について相談に参りました。――入試も終わり、おかげさまで受験した3つの大学はみんな合格したのですが、親の意向に反して、本人はすべり止めに受けた学校に行きたいと言って聞かないのです」

今の季節、一番多いのが、お子さんの進路相談です。

合格した大学のうち、最もランクが上なのがA大、次がB代、一番低いのがC大で、息子さんの希望はC大とのこと。

「大企業に入るにはA大と思い、安くない費用を出して塾に通わせて合格したのに、肝腎の息子はC大に行きたいって、もうガッカリです」

「ところで、息子さんは、なぜC大を?」

「息子が言うには、『僕は考古学者になりたいんだ。そのためにF先生のいるC大に行きたい』と生意気なことを言うのです。確かに、C大は考古学者を数多く輩出しており、なかでも教授は考古学会の権威として知られているのですが、将来のことを考えると、何だか不安で…」

息子さんの生年月日をお伺いして鑑定開始。

「息子さんはとても優秀で、性格は『これぞ!』という目的を見つけたら一直線、トコトン突き止めなければ気が済まない我が道を行く学究肌。適性職業は、自由闊達な研究者、教育者。反対に組織のなかの歯車的な仕事には向かないと思います」

「そうですか(*_*)」

わたしの鑑定が不本意だったのか、残念そうな表情です。

「将来、何をしたいのか、どんな職業に就きたいのか、はっきりしない子どもたちが多いなか、有名大学に進めば何とかなると、漠然とした気持ちで大学を選ぶより、しっかりした目的を持って大学に行きたいと思う息子さんは立派です」

「くどいようですが、息子は組織人として出世できませんか?」

「どの分野でも出世のカギは巡り合う人との縁です。その縁を活かすも、殺すも本人次第ですが、彼の場合、根が優しいだけに、人を蹴落としてでも出世したいと願う意欲が希薄なので、組織の歯車では、彼の能力が発揮できないと思います。ご主人は何とおっしゃっているんですか」

「主人は、本人が行きたい大学に行けばいいじゃないかと、まったく無関心です」

「時代は変わりました。これからの時代は、わたしたちの世代の優等生ではなく、どの分野でも、確固とした信念に基づく、一芸に秀でた人間に光が当たるのではと、わたしは思っています」

今週もまた「親の願い 子知らず」vs「子の思い 親知らず」の相談でした。

きらら(2/28)