「親の心 子知らず」 -1-

また大雪。

雪道も若い時にはスタスタ歩いていたのに、

今では転ばないようにヘッピリ腰でソロリソロリ。

ショーウインドウに映る自分の姿に思わず苦笑の巻です。

北陸新幹線

今日のお客さまは北陸某県からお見えのEさん。
遠路はるばる、しかも雪の日の上京に恐縮してしまいます。

「大変だったでしょ、こんな大雪で!」

「今年は例年になく雪が多くて大変ですが、北陸ではこれぐらいでは雪のうちに入りませんwww」

身体が温まるように生姜湯をお出しします。

「早速ですが、今日は高校2年生の息子の進路のことで相談に上がりました。ウチは老舗の造り酒屋で、息子はてっきり家業を継いでくれるものと思っていたのですが、先日、突然、『俺は将来やりたいことがあるので、家業は継がない』と言い出したことで、主人は『お前の育て方が悪い』とわたしに八つ当たり、おまけにお爺さま(義父)までショックで寝込んでしまい、以後、家の中がギスギス。息子を翻意させるにはどうすればいいか…」

「お子さんは息子さんだけですか」

「下に中学3年生の娘がいます」

ご兄妹とEさん夫婦の生年月日をお伺いして鑑定開始。

「う~ん。お兄ちゃんは独立心旺盛、家を離れて成功を収めるの持ち主です。結構、ガンコですし、翻意させるのは難しいと思います。むしろ妹さんの方が家から離れないを持っているし、お父さま、お爺さまとの相性も良いので、家業を継ぐにはうってつけでしょう」

「そうですか(*_*)。――息子は小さい時から素直で、親の言いつけをキチンと守る良い子だったのに、なぜこんなに変わったのでしょうか」

「今回のお兄ちゃんの“変身”は成長の表れです。――変化のない穏やかな時代なら親の言いなりに生きるのもいいでしょうが、今は親でさえ先が読めない難しい時代です。そんな時代に親が自分たちの経験を基にして、あれこれ口を出したくなる気持ちは分からないではありませんが、それは子どもの自立心を損ね、せっかくの可能性をダメにしかねません」

「はい。子どもには子どもの人生があるのですから、きらら先生のおっしゃることはよく分かるのですが、わたしが案じるのは『継がない』と言うだけで、やりたいことについて具体的なことを何も言わないことです」

お茶をお代わりします。

「ところで、彼は外国へ行きたいようなことを言ってましたか?」

「外国ですか?――そういえば、昨年の義母の法事の席で、妹にそれらしきことを言っていたようですが…」

「家業を継がない」ことに加え「外国行き」まで出て来たことで、気が気でなくなったE子さんの質問は、予定時間を越えて尚も続きます。(続く)

きらら(2/14)