「アフリカの花嫁」
残暑に台風。
すっきりした秋までもう少しです。
「ひょっとしてTさん?」
「はい。Tです。すっかりご無沙汰してしまいました」
「毎年、クリスマスカードを戴いていたのに、突然だから、びっくりしたわよ。どうしたの、いつ帰国したの?」
「先週です。父が入院したので、お見舞いを兼ねて、ファミリー全員で初めて帰国しました」
Tさんが、きらら館にお見えになってもう6~7年になります。
相談内容は結婚問題でした。
聞けばお相手は東京の大学に留学中の同い年のアフリカの男性。
両親はじめ、一族郎党は頭から大反対。
何とか彼と結婚したいと占い巡り。
しかし、行くところ、行くところ、ことごとく「×」のご託宣。
後でわかったことですが、これでダメなら諦めようと、最後に足を運んだのが「きらら館」だったのこと。
運命の“終着駅”が「きらら館」とは知らないわたしは、四柱推命とタロットで鑑定。
「いいじゃないの。最高の彼よ。相性度数も愛情度数も90点以上、何を迷っているの?」
「本当ですか? でも彼が来年にはアフリカに帰ってしまうことで周りは誰も賛成してくれないのです」
「何を言ってるの。確かに遠い国だけど、人生至る所に青山あり。アフリカだろうと南極だろうと、あなたに『彼と力を合わせて幸せな家庭を築く』という覚悟があれば、どこでもいいんじゃないかしら」
………こう言ったことを、昨日のことのように思い出します。
目の前の彼女は、この世の幸せを独り占めにしたような表情です。
「アフリカといっても、わたしには想像がつかないけど、どう?」
「気候もいいし、日本よりずっと快適ですよ。彼の両親もとってもいい人で、遠い国から来てくれた嫁だということで大事にしてくれるし…。唯ひとりだけ結婚に太鼓判を押してくれたきらら先生にはホントに感謝です」
「お子さんは?」
「上が女で、下が男。お陰様でふたりともスクスク育っています」
「来週、向こうに帰りますが、その前にファミリーでお邪魔してもいいですか?」
「でもアフリカの言葉なんか喋れないし…」
「大丈夫です。彼も子どもたちも日本語はペラペラですからwww」
「きらら館」初のアフリカの花嫁と、あれやこれや、積もる話で1時間以上。
話が尽きない某月某日の「きらら館」でした。