「心から夢中になれる仕事こそが天職!」
猛暑×酷暑×炎暑=8月の日本
ホントに暑い毎日。
ご自愛専一の程を…。
午後一番のお客さまはWさん。
「暑かったでしょう。さあさ、風を入れて…」
冷たいルイボスティをお出しします。
「主人のことで相談に上がりました。よろしくお願いします」
ご主人は30代半ば、某メガバンクにお勤めで、Wさんは専業主婦で育児休暇中とのこと。
「先週、主人が転職したいと言い出して…。海外支店も経験、これまで順調にお勤めしてきたのに、突然のことで頭が真っ白になって…」
それなりに安定していた生活が急変するかもしれないとあれば混乱するのも無理はありません。
「銀行からも留意されているのですが、本人の意思は固くて、ほぼ決定事項です」
ご主人の生年月日をお伺いして鑑定開始。
「ギョッ!」
「どうしたのですか?」
「わたしはご主人の考えに賛成、大賛成ですよ」
「えっ!」
「ご主人は進取の気鋭に富んだ、とっても優秀な方です。――昭和の時代と違って、AIの発達で今や銀行など金融機関は大幅な合理化が話題になっているように完全な斜陽産業。無くなることはありませんが、例えれば沈みゆく巨艦です。もうひと回り上の年齢なら辞めるに辞めれず、定年までしがみつくしかありませんが、今回の転職は正解だと思います。――丁度、今年のご主人には大きな『転換★』がめぐっていますし、転職には絶好のタイミングだと思います」
「そうなんですか」
不安気な表情は変わりません。
「用意周到なご主人のこと、もう転職先は決めてるんでしょ」
「IT関連の商社にヘッドハンティングされたようです。学生時代からITには格別の興味を持って勉強していましたから、本人は本望でしょうwww」
思いつめていたWさんの心が少しほぐれてきたようです。
「要は情熱を持って取り組めるか、どうか。銀行のような雁字搦めの組織より、心から夢中になれるお仕事に就く方が、ご主人には絶対、向いています」
「せっかくいい大学を出たのにと、両親も転職には猛反対なんです…」
「親としての気持ちは分かります。が、世の中は大きく変わっています。世間体にこだわるより、好きなことに情熱を燃やすことが大切だとわたしは思っています。これからは学歴よりも職歴の時代です。今回はご主人の決断を温かく見守ってあげてはどうですか」