「偕老同穴」
一月は往く、二月は逃げる――早いもので、もう一月も中旬。
色々な行事の連続で、何となく落ち着かない気分になりがちですが、こんな時こそ自分のペースでお仕事に、勉学に励んでください。
「新年明けましておめでとうございま~す」
1月某日、元気な声とともに、結婚したばかりのSさんが、ご主人と一緒にご来館。
「昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いします。あなたもボーッとしてないで、わたしたちの“縁結びの神様”に挨拶しなさいよ」
あらら、もう姉さん女房ぶりを発揮、すっかり「婦高夫低」です。
Sさんに促されたご主人が、おずおずと口を開きます。
「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます。今年もよろしくね」
「先生、聞いてください。主人たら、年末はずっと午前様だったんですよ。クリスマス・イヴでさえ、ふたりでお食事と張り切っていたのに、付き合いがあるとか何とか理由をつけて出て行ったきり。結局、ネコとメリークリスマス。酷いでしょ」
ご主人は、そんなSさんを「いつもこんな調子なんですよ」と、笑顔で包んでいます。
「新年早々、ごちそうさま(笑)」
「きらら先生まで、主人の味方をするんですか?」
「味方も何も、去年の今頃結には、『一緒になれなければ、生きるの死ぬのと大騒ぎ。ずっと彼のために尽くします』って大騒ぎしていたのに…(笑)」
「そうですけど…」
「結婚式のスピーチでも言った通り、あなたとご主人は『偕老同穴』。わたしが太鼓判を押したカップルのなかでもベストスリーに入るほどのナイスカップルよ。男には男の世界があるんだから、少々、帰るのが遅かったり、メールの返信がすぐに来なくとも泰然自若。愛情と感謝で労わってあげなきゃ…」
ご主人が「よくぞ言ってくれました」とばかりに頷いています。
「何があってもおかしくない今の時代、会社という組織でのサバイバル・ゲームは激烈なのよ。ご主人が活躍するも、しないも妻次第。古臭い言葉だけど、銃後(じゅうご)の守りあってのお仕事だということを弁えなきゃ」
「十五の守り?」
「十五じゃなく、銃後だよ」
ご主人が漢字を書いて説明しています。
Sさんは、フムフムと首を振りながら、「こんな難しい言葉を知っているんだ」とばかりに、尊敬の眼差しでご主人を見つめています。
「きらら先生、今日は貴重なアドバイスをありがとうございました。何かあったら、また来ますから、その節はよろしくお願いします」
「はい、はい」
「銃後の守りに精を出します(笑)」
幸せオーラがいっぱい!――手をつないで帰るふたりには「結婚は人生の墓場」という言葉は無縁です。