「偕老同穴」

秋と思いきや、突然の初冬。

一体、日本列島はどうなっているのでしょうか。

その日にならなければ着るものに迷う変な毎日です。

体調管理には十分すぎるほど気をつけてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日のお客さまは、東北地方某県からお越しいただいたAさん。
若い時はさぞかしと思われる上品な老婦人です。

初めてのお客さまですが、「以前、観てもらったことがある娘に『とっても感じのいい先生だから、東京へ行ったらお母さんも是非!』と勧められて、足を運んでくれた由。――お友だちの紹介というのはよくありますが、母娘二代というのは初めてです。

ハテ?

「失礼ですが、ひょっとして数週間前に鑑定させていただいたNさんのお母さまかしら?」

「はい。いつぞやは我がまま娘がお世話になりました」

「どことなくNさんと顔つきが似ていたものですから…www。お嬢ちゃんと一緒にお見えになり、30分の予定が意気投合、1時間以上、子育て論から人生問題まであれこれお話させていただきました」

「ありきたりの占いではなく、とっても楽しかったと娘も喜んでいました」

「恐縮ですwww――ところで、お母さまの相談事は?」

「主人は国会議員だったのですが、突然、『俺は今のような時代の政治家には向いていない』と言いだし、周囲の声を押し切って引退。現在は地元で幾つかの団体の役員を務めているのですが、今度は何を思ったのか、『農薬を使わない新しい農業のための事業』を始めると言い出したのです。わがままな性格は承知していましたが、議員を辞めて少しは静かに暮らせると思っていたのに周りの苦労も考えず畑違いの分野に挑戦しようだなんて…。勝手すぎる主人の行動にブレーキをかけるにはどうしたらいいでしょうか」

う~ん、難しい相談ですが、まずはご夫婦の生年月日をお伺いして鑑定開始。

ムムム!――「占いでは、Aさんには不本意ですが、ご主人の決断は正しいと思います」

「(´・ω`・)エッ!」――Aさんは絶句です。

「忖度ナシで言いますね。――ご主人はビックリするほど大きな“天才”をお持ちです。悪くいえば自己中心ですが、周りの人はハラハラしているのに、こうと決めたらわき目もふらず一直線、しかもそれが大成功を収めるという不思議な運命の持ち主です。だから、今回のご主人の農業事業計画にわたしは賛成です。――ご主人に投票してくれた方には申し訳ありませんが、国会議員選挙も、周りの人に推されて渋々、立候補したのではありませんか?」

「今だから言えますが、実はその通りです。――でも占いって、そんなことまで分かるんですね」

「国会議員という職業も大変で、“銃後の守り”にご苦労された思いますが、新しい事業は、ご主人自身が本当にやりたいことなので、国会議員時代と比べれば、Aさんがそれほど苦労されることはないと思いますよ」

「そうですかね。――しかし、新しい事業のことを話している時の主人は、議員時代と違って生き生きしているような気がしていたんですが…。それに娘も『お父さんがやりたいと言うのなら、やらせてあげればいいじゃない』と言っているんですwww」

「人生100年時代です。ご夫婦で田んぼの中で人生を語るなんて、羨ましいほど素晴らしいことだと思います」

「分かりました。きららさんの話を聞いて、ホッとしたというか、主人の“第二の人生”にわたしなりに協力してあげようかな~www」

「Aさん夫婦は偕老同穴、理想的なご夫婦です。自信を持って、これからの人生も仲良く歩んでください」

「ありがとうございました。『そら、わたしが言った通りでしょ』と言われるのを覚悟してwwwこれから娘の家に寄って今日のことを報告したいと思いますwww」

きらら(10/10)