『世の中は、駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人』

先週末はまたもや大型台風の襲来で各地で大きな被害。

かつての「穏やかな秋」は何処へ行ったのでしょう?


今日のお客さまは就職相談のJ君。
現在、某大学の3年生。

「未だにどの会社を選んだらいいのか分からず焦っています。僕にはどんな仕事が向いていますか?」

最近の世相でしょうか、就活中の男子学生に多い相談です。

鑑定の前に、ひとつ質問します。

「J君は何を勉強したくて大学に入ったの?」

「う~ん。何となくというか、高校の先生が『この大学なら大丈夫』と言ってくれたし、両親も賛成してくれたから…」

この種の相談に「共通する答え」が返ってきます。

「ところで、あなた自身はどんなお仕事に就きたいの?」

「う~ん。母は公務員になれと言うのですが、何となく新聞やテレビなど、マスコミ関係がいいんじゃないかなと思っています」

「何となく」、「いいんじゃないかな」って、まるで他人事です。

「どうしてマスコミなの?」

「だって恰好いいじゃないですか」

恰好いい?――じれったさを抑えて鑑定開始。

『性格は穏やかな好人物。主体性希薄でマザコン気質なれど内面は頑固。適職は、①研究者、②農業、③公務員』

「実家は何をしているの?」

「農業です。米、野菜の他、くだものや花卉を手広く栽培しています」

「どうしても東京で就職したいの?」

「田舎に帰るのもいいし、別に東京にこだわってはいません」

占い師の役目のひとつは、「ああしなさい、こうしなさい」と決めつけるのではなく、相手が気が付いていない選択肢を提示することだとわたしは思っています。

『世の中は、駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人』――J君に「も
っとしっかりしなくちゃ」というのは、J君本来の良さを摩耗させてしまいかねません。

内心ではIターン、②がベストだと思いつつ、「鑑定結果はこうだけど、どんな道を選ぶか、決めるのはJ君自身よ」

「はい。研究者も恰好いいけど、農業もいいなあ」

さながら波間を漂うクラゲのように、どこまでもあなた任せのJ君ですが、それもひとつの生き方です。

きらら(10/14)