「ネット恋愛にご用心!」
インフルエンザが大流行中。
外出時はマスク、外出から帰ったらうがいの励行。
くれぐれも気をつけてください。
毎年1月は地方からのお客さまが多いのですが、今年は格別の多さです。
今日、最後のお客さまは、新潟県からお見えになったAさん。
「先程、予約させてもらったAです。どうぞよろしくお願いします」
深々と頭を下げるご挨拶に育ちの良さが窺われます。
「そんなに固くならないでリラックスしてくださいね」
「想像していた以上の東京の寒さにブルブルですwww」
挽きたての珈琲を淹れます。
しばしの間、Aさんのお国自慢を拝聴。
コロコロ笑顔がとってもチャーミングです。
「ところで、どんな相談かしら?」
「この方との相性を占って欲しいのですが…」
おふたりの生年月日を伺って鑑定開始。
「う~ん。ズバリ言って、相性はあまり良くないというより、凶だわね。――お相手の方とはどこで知り合ったの?」
「ネットで知り合ったのですが、まだ一度もお会いしたことはありません」
スマホに保存してあるお相手の写真を拝見。
なかなかのイケメンです。
「知り合って3ヶ月ぐらいになります。先週、私の方から会いたいとメールして、今日会う約束だったのですが、3時間も待ったのに来なくて。電話しても、メールしてもつながらないし。今まではメールを打つとすぐに返信があったのに、今日に限って音沙汰無しなんです」
嫌な予感がします。
流行りのネット恋愛詐欺かもしれません。
もはや占いでどうの、こうのという話ではありません。
「今までに彼におカネを要求されたことある?」
「お願いされたことはありますが、会った時に渡したいということで。それが今日だったのです」
案の定です。
「気を悪くしないで聞いてね。不幸中の幸いで未遂だけど、これは詐欺と思うわ」
「詐欺ですか?」
「そう。ネット上の架空の恋愛を利用した詐欺よ。その写真だって多分、別人の写真のはずよ」
「そんなぁ!」
無理もありませんが、まだ信じられないようです。
「ネットで知り合い、恋愛感情を抱かせたうえ、あれこれ理由をつけて、おカネを騙し取る――最近、そんな悪いオトコがいっぱいいるのよ」
「彼の妹が病気になり、手術費用が足りないのでおカネを貸して欲しいと言ってたのに――あれも嘘?」
「おそらく…。あなたに会わないままおカネを送らせるつもりだったのが、アテが外れて顔を見せなかったのよ」
「怖いなあ。――でも、会ったこともない人のことを、ウソかホントか分からないのに、ネットの遣り取りだけで好きになったわたしがバカだったのですね」
「文明の利器の裏に危険あり!――まあ、これも勉強。おカネの被害がなかっただけでも良しとして、これからは気をつけてね」
「でも、先生の占いで相性が凶と出るなんて…。本当にありがとうございました」