『待てば海路の日和あり』
来週はクリスマスです。
昭和時代の子どもたちの多くは、サンタクロースが本当にいると信じていた(と思う)のですが、平成の子どもたちは、どうなんでしょうか?
今日、最初のお客様は、大手薬品会社にお勤めの薬剤師で、大阪からお見えになったSさんです。
聞けば、お仕事か、買い物のついでではなく、わざわざ「きらら館」だけのために上京してくれたとのこと。
感謝の一語に尽きます。
「ありがとうね。遠いところをわざわざ足を運んでくれて…」
「いえ、いえ。今年の春ごろ、インターネットできらら先生を見つけ、いつか行こうと、ずっと思っていたのですが、やっと時間が取れたので…」
「珈琲、飲む?」
「大好きです。でも、珈琲を淹れてくれるところなんて初めてです」
珈琲のいい香りが部屋に漂います。
「わあ、いい匂い。これ、どこの珈琲ですか?ひょっとしてアフリカ?」
「そうよ。南アフリカ。珈琲に詳しいのね」
しばしの珈琲談義で気分がほぐれたところで、鑑定開始。
「結婚を前提にお付き合いしている方がいるんですけど、最近、彼があまり結婚に乗り気でないような気がして…。結婚の話を持ち出すと話題を逸らすことが多いのです。このまま彼と結婚すべきか、どうか不安になってきました」
Sさんと彼の生年月日をお伺いして「相性度数」を出します。
相性度数はギリギリの77点。
「知り合ったのは一昨年の今頃?」
「はい。でも、どうして…」
「その頃は、お互いが寂しくて、あなたも彼も、燃えるような気持ちはなかったけど、何となくお付き合いを始めたんじゃないかしら?」
「怖い。図星です!」
「食事は腹八分目がいいけど、お友達としてならともかく、結婚となると…」
「わたしの勘ですが、彼には他に好きな女性がいるような気がするのですが…」
鑑定でも、彼にはもうひとつ「女性★」が見えます。
「はっきり言っていいかしら?」
「言ってください。そのためにきらら先生のところへ来たのですから…」
「あなたの勘は当たっていると思います。残念ながら、今の彼は、そちらの女性に夢中です」
「やっぱり!」
さすがに、Sさんの顔に落胆の色が浮かびました。
「彼は、恋愛に限らず何事も、自分のことでも自分で決められない優柔不断な性格だと思います」
「そうなんです。デートの場所を決めるのも、いつもわたしだし、食事に行ってもグズグズして、なかなか決められないんです。この前もウナギ屋さんに行ってるのに、ああでもない、こうでもないと迷った挙句、玉子丼を注文するんですから…」
「きっと子どもの頃から大事に育てられたから、良くも悪くも甘えん坊なのよね。あなたは、彼と反対で、モタモタするのは大嫌い。メリハリ付けたいタイプだから…」
「別れた方がいいですか?」
「別れる、別れないは、あなたが決めることよ。年下でも、あなた自身が、彼の性格を理解して、姉さん女房的な立場でいられるなら、それも人生だし、そんなのは耐えられないと思えば別れるのも人生よ」
「う~ん。わたし、姉さん女房になれそうにないなあwww。わたしだって甘えたい時もいっぱいあるし…。きらら先生ならどうされます」
「わたし?――わたしなら別れます。甘えん坊云々はともかく、彼はとっても大きな『マザコン★』を持ってるから…」
「うわっ、凄い。そうなんです。何かあると、『母に相談するから~』というのが口癖です」
「せっかく大阪から来てもらって、ズバズバ言っちゃって、ごめんなさいね」
「いえ。言葉を濁してホントのことを言ってもらえないのは嫌ですから…。むしろ、ありがたいと思っています」
先程とは打って変わったサバサバした表情です。
「今後、彼とは結婚を前提とせず、徐々に距離を置いて“友達”としてお付き合いしようと思います。その間にわたし自身にも見えてくるものがあるような気がします」
「グッドです。来年の6~7月頃、あなたに『恋愛★』が巡って来るから、その時まで、その姿勢がいいわよ。相手のことが分からないから断定はできないけど、その『恋愛★』は相当大きいから期待できるんじゃないかしら」
「うわっ、嬉しいなあ。『待てば海路の日和あり』――楽しみです!」
「随分、古い言葉を知ってるのね」
「毎週、『週刊きらら』を読んでますから…www」