「ご隠居は20年来の“戦友”」
不要不急の外出。
コロナ禍の現在、よく耳にする言葉です。
しかし、よくよく考えると「必要」、「至急」の度合いは人それぞれなのに…。
最近、分かったようで、その実、よく分からない言葉が増えているような気がします。
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GW前の4月某日。
久しぶり、本当に久しぶりに日本橋のご隠居が突然のご来館。
「すっかりご無沙汰、きららさんもお変わりありませんか」
「あらまあ、こんな時期に…。――ホントにお久しぶりです。ご隠居こそお元気そうで何よりです」
連休中はご家族で過ごす予定だそうで、箱根の別荘へ向かう途中とのこと。
ご隠居との出会いは20年前、Tホテルで開催された鑑定会の場。
当時のご隠居は60歳、財界人として大活躍している時期でした。
そんな著名な方とは知らないわたしは、初対面からズバズバ。
しかし、それが“新鮮”だったのでしょうか、以後、数ヶ月に1度は足を運んで戴き、爾来20年。
今ではお客さまであり、生意気な言い方ですが、同じ時代を生きた“戦友”のような存在です。
「今日はいつもと違ってwww真面目な相談で来たんだが、昔の部下の初孫が昨日産まれたということで、わしに命名して欲しいという依頼があって…。元部下とはいえ他人の孫、ならばわしの孫と同じように、きららさんに助けてもらおうと思ってなwww」
「外ならぬご隠居の依頼、ひと肌もふた肌も脱がせていただきますwww。お孫さんは男の子、女の子?」
「女の子らしいんだが、ふたつ注文があって、いわゆる『キラキラ ネーム』でないことと、気立ての優しい女性になる名前をお願いしたいということなんだ。これが両親の名前と生年月日、忙しい時に申し訳ないが、よろしく頼みます」
「承知いたしました」
「近くに車を待たせてあるので今日はこれで失礼するが、箱根からの帰りにお土産持参で寄らせてもらいますから…www」