「無駄の効用」‐2‐
今週2月2日は節分。
「鬼は外、福は内」
嬉々として豆を蒔いた子どものころを思い出します。
さしずめ現在の鬼はコロナ。
一日も早い終息を願わずにはいられません。
お茶を飲み干したお爺さま。
「旨いね、このお茶。――さて、どこまで話したかな?」
「無駄のなかにこそ大切なエッセンスが含まれていると…」
「誰しも世の中全体が効率を中心に回っている現在、そんな悠長なことを言ってられないと思うかもしれないが、物事を進めるのに必要なのは緩急だ。朝から晩まで効率を重んじて目を血走らせたところで、早々、グッド・アイディアが浮かぶはずもなく、かえって独り善がりの結果になってしまうものだ」
「確かに“最短距離”ばかりを走るというのは結構、疲れるものです」
「例を挙げれば、今や新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった日本的雇用慣行は崩れつつあり、これまでのように難関大学を卒業、著名企業に入れば人生安泰という時代でなくなりつつある時代だ。それだけに落ちこぼれまいと必死になるのは分かるが、それはかえって自分を追いつめる原因。逆説的な言い方になるが、無駄があればこそ『急がば回れ』で余裕が生まれ、本当に大切なものが見えてくるものだ」
「無駄を活かすーーそれこそが成功の近道だと…」
「人生の要諦は緩急。――繰り返すが、緩が無駄、急が集中だ。しかも、無駄の中に真理に直結するヒントがいっぱい詰まっているんだから、無駄をゴミ扱いにしちゃいかんよ(笑)」
「???」
新年早々の禅問答で瞬く間に1時間が経過。
「(う~ん。今日は難しかったなあ)――今年も色々、お勉強させてください」
きらら(2/1)