「無事こそ孝行」
記録的な大雨で熊本県をはじめ九州一円のみならず、近畿、中部地方にも大きな被害をもたらしました。
自然災害とはいえ、天に神がいるならば、あまりにも無慈悲な仕打ちに心が痛みます。
都内の感染者数が連日100人を越えた先週、豪州航路の貨物船に乗っている息子から久しぶりの電話。
「変わりありませんか?」
「元気だよ。オカンこそ元気?」
「おかげさまで。――今、どこなの?」
「オーストラリアだよ」
「そっちもコロナで大変なんじゃないの?」
「現在は、オーストラリア大陸の南の方だから、それほどでもないけど、船の場合は、船員がひとりでも罹るとアウトだから、貨物の積み降ろしの時に接岸するだけで、その作業が終わると、すぐに沖合に退避。だから、ず~っと船の中に引きこもり状態?だよwww」
「フム、フム。(地球儀を回しながら)南というと地図でいえば南極に近い方だわね。――でも、タッチ・アンド・ゴーじゃ、上陸できないじゃない?」
「そうだよ。もう地面を踏む感触を忘れちゃったよwww」
「ということは今回は、お土産はないの?」
「残念ながらございません。精々、息子の元気な顔だけですwww」
「母としては、それだけで十分ですよ、ナンちゃ~ってwww」
「そんな古いギャグは止めてくださいwww」
「とにかく体に気をつけて、無事に帰国してくださいな」
「ハイ、ハイ!――俺のことより、もう歳なんだから、オカンこそ気をつけろよwww。じゃあ、またね!」
親と子、子と親、お互いに『無事こそ孝行』を感じるひとときでした。
きらら(7/13)