「6年目の吉報」

Stethoscopeもう6年ほど前になりますが、初めてお会いした時のG先生は、ご自身が経営する病院の院長でした。

お見えになったきっかけは、或る方の紹介でした。
「古くから知り合いのお医者さんなんだけど、どうした風の吹きまわしか、『誰かいい占い師を知らないか?』って聞かれたから、きらら先生を紹介しておいたからよろしくね」

高名なお医者さんが、一体、何の相談かしら?

その翌日、G先生が神妙な顔でお見えになりました。
「お孫さんの進路」についての相談でした。

G先生「早速だが、中学生の孫が医者に向いているか、観てくれんか。患者を診るのはお手のものだが、孫の将来となるとさっぱりでな(笑)。母親をはじめ周囲の者は、全員が『医者になれ、医者になれ』ってうるさいんだけど、どうも本人は、他にやりたいことがあるみたいで、気が進まないようなんだ。予断を排して、忌憚のない鑑定をお願いします」

G先生には、「お孫さんは、自分でコツコツ努力する学者タイプです。医者になるより、科学者、特に物理とか化学の研究者になる道に進んだ方が能力が活きる」という鑑定結果をそのまま伝えました。

あれから6年。――先日、そのG先生が、ひょっこりと訪ねて来てくれました。

G先生「お久し振りです。いつぞやはお世話になりましたな」

きらら「ご無沙汰してしまって。先生もお元気そうで何よりです」

G先生「現在は一線を引退。息子に代を譲って、隠居の身です。報告が遅くなってしまいましたが、きらら先生に占ってもらった孫坊主ですが、今年K大の理学部に進学。地球物理学を専攻して、将来はアメリカの大学に留学するんだと、張り切って勉強していますよ。気が進まないのに医者になったところで迷惑するのは患者(笑)。すべてはきらら先生のご託宣のお蔭です」

きらら「いやいや、私は鑑定通りのアドバイスをしただけですよ。K大に合格したのも、お孫さんの努力の賜物です」

G先生「しかし、占いというのは不思議なものですなあ。僕たちは器械がなければ何も診ることができないのに、先生はズバっと将来を見通すことができるんだから…」

きらら「何故、将来のことが分かるのか、実は私も未だに分かりません。先人の教えに唯々、驚嘆、感謝するばかりです」

G先生「今度は、人生の恩人に挨拶させるために孫坊主も連れてきますよ。本当にありがとうございました」

かくなるうえは、お孫さんには「ノーベル賞」を受賞して貰いたいものです!?

きらら(8/26)