『母の日』に「心の中の母」と語る

カーネーション carnation昨日(5月12日)は『母の日』――電車の中で色とりどりのカーネーションの花束を手にした人たちを何人も見かけました。

私の母は既に亡く、プレゼントを渡すことはできません。
その代わり、毎年この日には、ひとり「心の中の母」と語り合うことにしています。
昨日も20分ほど、母と他愛のない話に花を咲かせました。

母「みんな変わりないかね?」
私「お蔭さまで元気ですよ」
母「朝は早く起きて、夜も早く寝てるかい?」
私「ハイ、ハイ」
母「野菜はしっかり食べてる?」
私「食べてるわよ。この前、送ってもらったネギは甘くて美味しかった~」

家族の安否を尋ねた後には、いつも睡眠と食事の心配をするのが母の口癖です。
きっと幾つになっても「我が子は我が子」なのでしょう。

母「来週、老人会の旅行があるんだけど…」
私「どこへ行くの?」
母「善光寺さんのお参りと上山田温泉だけど、何を着て行けばいいかね?」
私「この前の誕生日に送ったベージュのカーディガンがお洒落だし、似合っていたわよ。でも、まだ寒いから用心に薄いマフラーも持って行った方がいいかも」
母「下は何にしようかね?」
私「歩きやすいようにスラックスがいいんじゃない」
母「靴は?」
私「マメでも出来たら大変だから、履き慣れてるのが一番よ」

私は、いつも母の“専属スタイリスト”です。
いちいち面倒くさいのですが(苦笑)、娘にコーディネイトして貰う嬉しそうな声を聞くと無碍にはできません(笑)。

母「お習字の練習してるかい?」
私「忙しくて…」
母「せっかく愛用の硯と新しい筆を送ってあげたんだから、毎日少しづつでも練習しなくちゃ」
私「書道の才能ないから、母さんみたいに上手くなれないよ」
母「何、言ってんの。年齢相応の字が書けなければ恥ずかしいよ。書道は、一にも、二にも『心』よ。『心』さえあれば、すぐに上達するんだから」
私「……」

母は、かな文字7段の有段者。――私にとっては“雲の上の達人”です。
実は「渋谷・きらら館」の本棚にある『握一点 開無窮』の色紙も、母に描いてもらったものです。

母さん、来年またお話しましょうね。

きらら(5/13)