MIT留学生が占い教室に -③-

F君にとって占い教室最後の日。今日もマンツーマンです。どんな授業になるのでしょうか。

planetF君「きらら先生に教えてもらったことを昨夜は遅くまで復習、概略は理解できたつもりです。そこで今日は健康運を観る『12星』と『空亡』の2点について教えてください」

きらら「まず、はじめに『12星』から始めるわね。順に①長生(ちょうせい)②沐浴(もくよく)③冠帯(かんたい)④建禄(けんろく)⑤帝旺(ていおう)⑥(すい)⑦(びょう)⑧(し)⑨(ぼ)⑩(ぜつ)⑪(たい)⑫(よう)。――それぞれが意味することは、①の『長生』は文字通り、健康に問題はなし。但し怪我や事故には気をつけること。②の『沐浴』は、ちょっとした体調不良でも油断大敵、十分に養生すること。③の『冠帯』は体力、気力とも最高に充実。④の『建禄』は、まあまあ健康なんだけど、高血圧や糖尿病になる恐れがあるので食べ過ぎに注意。⑤の『帝旺』は無理に仕事をしないこと。たとえればスピード違反に注意っていう星ね。⑥の『衰』は病気に罹る前の状態。⑦の『病』は病気になる可能性が極めて高い状態にあること。⑧の『死』は字の通り、生き物の必然である死相。⑨の『墓』は低血圧や冷え性による体力の衰え。⑩の『絶』は暴飲暴食、⑪の『胎』はストレス過多に夫々注意。⑫の『養』は変だなと思ったらしっかり休養を摂りましょう。――というのが大雑把な考えなのよ」

F君「なるほど、年柱に表われるこの12の星の意味を当て嵌めれば自分で自分自身の健康運をチェックできるわけですね。分かりました。最後に『空亡』についてお願いします」

きらら「『空亡』以外にも色々な呼び方があって、本家の中国では『本命年』、和泉先生の算命学では『天中殺』、細木先生は『大殺界』と名付けてるけど、これも12年に1回巡って来ます」

F君「漢字の感じからすれば(笑)あまり良い意味ではないような気がしますが…」

きらら「『空亡』とは『空すなわち天の星の助けがない年』のことだから、基本的には『あれこれ手を出さずに静かにしていなさい』という意味だから、多くの人が病気になるんじゃないか?事故に遭うんじゃないか?親族間で問題が起こるんじゃないか?って思うのも無理はないんだけど(笑)、そんなに恐れることはないし、『禍転じて福と為す』――それなりの心構えで対処すれば、かえって良い方向に事が運ぶことも多いのよ」

F君「それなりの心構って?」

きらら「お祈りとか、おまじないしたりとか、大袈裟なことをするんじゃなく、独り静かに温泉にでも浸かって、これまで歩んできた人生の“足跡”を見つめ、謙虚に自問自答、素直な気持ちで自分自身を戒める――私はこれでいいと思ってるの。12年に1回、『自分を振り返りなさい』っていう機会を与えてくれた“お星様”に感謝する気持を持つことが大切だし、生意気な言い方だけど、これこそが“占いの効用”じゃないかしら」

F君「う~ん。占いはまさしく“哲学”ですね。――自然を克服するとか、地球に優しくだ、なんて言って偉そうにしてますが、人間だって自然界の一部です。自然の摂理に従って謙虚に生きるべきなのに…嗚呼!!…もっとお話したいのですが、明日の準備をしなければいけないので今日はこれで失礼します。本当にありがとうございました。何か、気持ちがワクワクして来ました。帰国したら、また逢いに来ますので、その節は宜しくお願いします」

きらら「『握一点 開無窮』――健康に気をつけて、しっかり頑張ってね。じゃ、またいつの日か逢える日を楽しみにしているわよ」(了)

きらら(2/17)