『開幕1軍間違いなし!』

今週14日はバレンタインデー。

デパートのチョコレート売り場は長蛇の列です。

本命チョコに義理チョコ、同情チョコ。

あなたは何個贈りましたか。

本日、最終のお客様はFさんのご紹介のAさんです。
約束の時間通り、Aさんがお見えになりました。

「こんばんは。失礼します」

Aさんお一人だけかと思ったら、後ろに日焼けした大きな男の方が…。

「すみません。わたしひとりでと思っていたのですが、彼がどうしても、と言うので一緒に来ました」

「はいはい、どうぞ。初めての方は一人でも二人でも料金は同じですからね。寒かったでしょ。今、珈琲を淹れますから、温まってください」

彼の大きな体には椅子が窮屈そうです。

「実は、今日の相談は彼のことなんです。彼とは正式に婚約しているわけではありませんが、将来は結婚するつもりです」

「そうなんだ。で、何を…」

「彼は現在、在京球団のプロ野球選手なのですが、今ひとつパッとしない成績で1軍と2軍を行ったり来たりの状況です」

年齢は同じですが、完全に姉さん女房。彼はじっと頷くばかりです。

「プロに入って今年で5年目。今シーズンも中途半端な成績なら、トレードか、最悪のケースは自由契約になるおそれもあります。わたしは大学時代から、ずっと彼のことを見てきたのですが、ドラフトも上位でしたし、決してこのままで終わる人ではありません。レギュラーでなくても、代打でも、代走でもいいから、何としても1軍で活躍して欲しいのです」

姉さんどころか、母親にも似た、いや母親以上の熱弁です。

「彼にとって今年は勝負の年です。どうか先生。1軍に定着できるのか。彼の今年の成績をズバリと占って欲しいのです。お願いします」

プロ野球選手の占いは初めてです。
恥ずかしながら野球の知識は、三振とホームランぐらいしか分かりません。
難問ですが、わたしもプロです。
お二人の生年月日をお伺いし、念を入れて鑑定させていただきました。

「彼は、一昨年、下半身、それも膝を痛めなかった?」

「はい。どうしてそんなことが分かるのですか?」

初めて、彼が口を開きました。

「でも、もう完治してるわね。――大丈夫!――今年の★星回りは過去5年で最高の90点。間違いなく1軍に定着できます。但し、『打てなかったら、どうしよう』なんて考えず、『打てるぞ。Aさんが付いているから大丈夫なんだ(笑)』と自分自身に暗示をかけてバッターボックスに入ること。精神的な脆さをなくせば、あなたは押しも押されもしないレギュラー選手です。自分のために、そして彼女のために一生懸命頑張ってください。ついでのことだけど、お二人の相性度数は♥92点。ナイスなカップルですよ」

「ありがとうございます。頑張ります!1軍に定着出来たら、きらら先生を球場にご招待します」

「『定着出来たら』でなくて、『定着して』でしょ。きらら先生の言葉を胸に刻んで頑張ってよ!」

先程より強いAさんの檄に彼はにっこり笑ってVサイン。
実にお似合いです。

かっ飛ばせ、かっ飛ばせ!――頑張ってください。

きらら(2/13)

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