「別れて正解、明日は明日の風が吹く2」
Rさん「そう言えば…」
何か、心当たりがあるようです。
Rさん「実は、彼には…」
涙をこらえて次の言葉を探しています。
きらら「言わなくていいわよ。嫌なことは忘れましょう」
Rさん「…」
きらら「辛い時に、こんなことを言うのは酷だけど、あなたが彼のことを大好きだったにせよ、彼はどうだったのかしら? あなたは彼に愛されていると思っていたかもしれないけど、本心では、あなたのことを“都合の良いオンナ”ぐらいのつもりで付き合ってきたんじゃないかしら。だから仮にヨリを戻したとしても、遅かれ早かれ、また今日のようなことがあると思うわ」
Rさん「お付き合いした当初と違って、最近は意味のないことや些細なことで怒鳴られたり、果てはつかみあいのケンカになったり…」
きらら「愛し合ってる同士でもケンカはするけど、愛のあるケンカと、愛のないケンカは根本的に違うわよ」
Rさん「旨く言い表せないけど…分かります」
きらら「人間の心には、損とか、得とかじゃなくて、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと、単純明快に区別する力があると思うの。それなのに、無理に理論化して『自分の行動は正しいんだ、間違ってない』と納得させようとするから、その理屈が綻んだ時に、それを『認めたくない自分』と『直面する現実』の間に生じた“亀裂”に挟まってしまうんじゃないかしら」
Rさん「そっかあ。もっと素直になって、謙虚に考えるべきなんですね」
きらら「そうよ。言葉や字面を頭で考えて画一的な解釈をしがちだけど、虚心坦懐にその裏面にある“心”を“本能の力”で感じるようにしないと…」
Rさん「そうなんですね。でも今日はきらら先生にお会いできてホントに良かった。ありがとうございました」
やっとRさんが笑顔になりました。
Rさん「彼と別れるか、どうか。今晩、よく考えて決めます」
きらら「あらら、さっき言ったことを忘れたの(笑)」
Rさん「あっ、いけない。頭で考えるんじゃなくて、わたし自身の“本能の力”で決めるんですよね」
2日後に来館したRさんの顔は、一昨日の夜とは見違えるように清々しい表情でした。
Rさん「彼とは、きっぱりと別れました」
きらら「別れて正解、大正解よ。再来年の今頃には、あなたにバッチリの人が現れるから『明日は明日の風が吹く』――それまではしっかり自分を磨いて、その日を待たなきゃ」
Rさん「は~い。頑張りま~す」
きらら(2/16)