『令和無責任時代』

『令和無責任時代』

年号が昭和から平成に変わる頃のことです。
今日は、およそ約4年間にわたり、月に1~2度、きらら館にお見え頂いたFさん(故人)のことを書いてみたいと思います。

当時のFさんは有名企業の重役。最初の頃はお孫さんの命名や末の娘さんの結婚相手、奥さまの健康など”真面目な占い”が大半でしたが、それも”ネタ切れ”(笑)になると、段々と過去の思い出話や世間話の類が多くなりました。
それはFさんが社長を退任されるまで続いたのですが、振り返ればお客さまと言うより、人生の大先輩、三分七分のお友だちの関係だったと思います。

そんなFさんの言葉で思い出すのは、ちょうどFさんが社長に就任された時の言葉です。

2018 FCG Headquarters Building 2
Kakidai, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

――社長、就任おめでとうございます。

「ん? めでたくも何もないよ」

――なぜですか?

「社長というのは会社のトップ。そのトップの唯一の仕事は会社の良いこと、悪いことのすべてに責任を持つということだ。すなわち、良いことはともかく悪いことに関しては、つべこべ言い訳をせず黙って責任を取るポストだ。
いわば勤め人の”終着駅”みたいなもの。その終着駅の待合室に座るのをめでたいと祝福するのはおかしいだろう(笑)」

――確かに…。

「トップが保身に走る姿を見て、下の者が随いてくると思うかな(笑)

――社長というのは不合理なポストなんですね。

その時は、随分と偏屈な考えと思いましたが、昨今、多くの大企業(メガバンク、マンモス証券、居並ぶ損保会社、TVキー局など)で不祥事が発覚した際のトップの卑怯未練な態度を目にする度に、Fさんの言葉を思い出します。

「可可可。まったく、令和時代は無責任時代だな。責任を取るのが嫌で、第三者委員会だナンダと理屈をこねるなんて、もうそれだけで総大将の資格なしだな。いっそのこと第三者委員会に社長を代わってもらえばいいんだよ(笑)」
 ――天上で昨今の企業トップの姿勢を見たFさんは、おそらく嘆息混じりでこんな言葉を口にするのでは…?

きらら(1/20)

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