「重視すべきは学歴よりも人間性」
東京五輪は本当に開催できるのか。
コロナ感染者の全国的な拡がりのなか、前のめりの報道が目立ちます。
気持ちは分かりますが、相手は人智を越えた“敵”。
人間の都合だけを考えたイベントの強行は無謀では…。
開館直後のお客様は某中堅商社の人事担当者Sさん。
年に一度、恒例の採用予定者の適性占いです。
「今年の採用はコロナの影響で、昨年より若干名少ない採用でしたが、まずまずでした。――よろしくお願いします」
持参した履歴書は17枚。
Sさんのわたしへの注文は各々の「性格」と「配属部署」。
「一昨年、きららさんが、『この子は断然 Good!』と太鼓判を押してくれたA君は今や営業部の準エース、『海外事業部で伸びるわよ』と、その前年に◎をつけて戴いたB君は、ロンドン支店でピカイチの成績です。
みんな、10倍以上の難関を突破して内定しただけに、ほとんどが有名大学出身者でしたが、ひとりだけ地方の無名の大学の方がいらっしゃいました。
「この方(C君)は縁故か何かです?」
「いや、ウチは社長の方針で縁故採用はありません。Cは筆記試験と2度の面接で内定通知を出しました」
ひとりづつ順番に占っていきます。
「正直言って、いつもは何人か『?』が付く方がいるのですが、今年は粒揃いですねえ」
Sさんにも手応えがあったのでしょう、ニンマリしています。
「17名のうち、期待度数ナンバー・ワンはC君。将来の幹部候補です」
「Cですか?」
Sさんには意外だったようです。
「他の方に比べて出身大学のランクは下位ですが、組織にとって大切な柔軟性、思いやりに溢れた人間性、向上心も高得点で申し分ありません。――コロナ禍の時代にあっては『蜜』は厳禁ですが、仕事に関しては『蜜』こそが原動力です。その意味で、これからは学歴云々ではなく、人間性というか、仕事に対するひたむきさが評価される時代だと、わたしは思っています」