「混乱の時代こそ、心を穏やかに」‐2‐

北の海ではサンマが極度の不漁。

相模湾ではカツオが爆釣。

陸と同様、海でも異変続きです。

これは母なる海の人類の横暴に対する “警告”かも?


「ところで、今回のコロナ騒動で人々の生活様式が大きく変化しました。たとえばリモートワーク。今まで毎日、電車に揺られて通勤するのが普通だったのが、今や自宅のパソコンの前で事足りるのですから、昭和世代には想像もつかない勤務形態になりました。当初はSTAY HOMEのための一時的なものと思っていたのが、もちろん業種によりますが、主客転倒。ITありきになりつつあります」

「IT技術は日進月歩、本当にコンピューターというのは便利なもので、21世紀の産業革命だな(*_*)」

「感心ばかりしていないで、これからの時代を生き抜く心構えを伝授してくださいよwww」

「便利というのは、つまりは無駄を省くことだ。――無駄には『有益な無駄』と『無益(有害)な無駄』があるんだが、効率第一のITはそれを区別することなく省略してしまうのが欠点だ」

「そうですね」

「この世に住むのがすべてロボットやサイボーグならそれでいいのだが、生身の人間には、無駄があればこそ生まれる『感情』というものがあるから厄介なんだな。身近なことでいえば年賀状だ。最近は随分少なくなったが、昔は一枚、一枚、相手を想いながら手で書いたものだったが、今じゃほとんどがプリンター印刷だ。確かに出来栄えはいいし、新年の挨拶という役目は果たすが、無味乾燥というか、『心』が伝わらないんだな。心あってこその人間なのに、それを省略したらあまりにも悲しいだろう」

「そうですね。パソコンを使っていると、辞書を引くこともないし、昔は書けていた漢字すらも書けなくなるし…。便利さは人間を退化させることを実感しています」

「年寄りのボヤキといわれるかもしれないが、IT技術が進歩、人間がAIに使われると、基準になるのは『損か、得か』だ。こうした考え方が蔓延すると、身の回りの生活はもちろん、政治、経済など、世の中の仕組み全体が殺伐としたものになってしまうんだよ」

「移り変わりが速い時代にあってAIに負けず、人間らしく生きるためにはどうすればいいのか…」

「AIに絶対に出来ないこと、すなわち『徳を積む』ことだな。喜怒哀楽、何があろうと心穏やかに毎日を送るように心掛けることだと、わたしは思ってるけどな…」

「そういえば以前、『能力ある者にはお金を、徳のある者には権力を』と仰っていましたね」

「自分に関わる人たちに対して徳を積む。――年寄りが次代の若者に贈る言葉は、これに尽きると思うな」

きらら(9/20)