「男尊&女尊」

コロナ騒ぎにも我関せず。

さくらの花だけは、いつも通りにパッと咲いて、いつも通りにパッと散る。

羨ましく思いながら残り少ないさくらを見上げます。

今日のお客さまは、某大学病院に勤務する女医・Wさんです。

「結婚って何ですか?」
「しなきゃいけないものですか?」

開口一番、ストレートな質問です。

わたしも合わせて、ストレートに答えます。

「結婚して幸せな人、結婚して不幸せな人、ひとはそれぞれ、人生いろいろ。どちらでもいいと思いますよ」

「うわっ、他の占いは、『女の幸せは結婚にあり』みたいに言うんですけど、きらら先生みたいな答えを返してくれたのは初めてです」

Wさん、我が意を得たりとばかりにニンマリ。

「実は田舎の両親、特に母親ですが、実家の病院は、まだ研修中ですが、弟が後を継げばいいのに、いつも『行き遅れないうちに、お見合いをしなさい』と口うるさくて閉口しています。わたしは海外留学もしたいし、田舎に帰る気持ちなんかサラサラないのに、『娘の心親知らず』で参っています」

「そりゃあ、手塩にかけて育ててきた大事な娘だもの、特に昭和世代の親なら、そう言うのは当たり前よ」

「好きな人ができたらパートナーとして一緒に人生を歩むのもいいかなとは思いますが、だからといって結婚しなければいけないというのが理解できないんです」

「昔は、『家庭』を守るというのが女性の務めとされていましたから、結婚しない女性は白い眼で見られたものです。つまり夫は仕事、妻は専業主婦と役割がはっきりしていたのが『家庭』だったのですが、女性の社会進出が当たり前になってくると『家庭』の形も変わります。『家庭』という組織の時代から『個人』の時代になりつつある現在、自分はどう生きれば輝くことができるのか。そのことを原点にして考えれば、不思議なことに、自ずと輝いている相手に巡り会うものよ。そうねえ、ひと言でいえば、わたしの造語だけど『男尊女尊』かな」

「なるほど。最初から結婚と言う形式から入るのではなく、お互いが実質を重んじて、その結果が結婚につながるのが、先生のおっしゃる『男尊女尊』」なんですね」

「何が何でも結婚、結婚と急いで結婚した人ほど、『こんなはずじゃなかった』と後悔するものよ。昔は『女、三界に家無し』と離婚することが憚られたけど、『家庭』という縛りがなくなった今のような時代こそ軽挙妄動は厳禁。良い意味で、自分中心に物事を考えた方が、かえっていい結果につながると思います」

「きらら先生のお話で元気が出てきました」

「意識しなくても、あなたには3年後に結婚が巡ってきますよ。――それまでは自分がやりたいことに一心不乱に取り組んで、ピカピカ輝いてください」

「ようし、その日に備えて、自分が輝けるように一生懸命頑張ります」

きらら(4/6)