「入院も天の啓示」
「露の世は 露の世ながら さりながら」(一茶)
秋になるとつい口に出る俳句のひとつです。
しばらくお見えにならないなと思っていたY先生から電話。
Y先生と知り合ったのは10年以上前。
まだ現役の国会議員時代ですが、気さくで、情けに厚く、行動力は抜群。
今の時代には少ない人柄を買われて、あちこちの団体や企業の役員を務めていらっしゃいます。
「お久しぶりです。お元気ですか?」
「いやあ、入院しちゃってね」
「えっ、どうされたんですか?」
「不覚にも、酔っ払って自宅の階段で足を滑らせて、あばら骨を折ってしまってね(笑)」
「あらあら、先生らしくもない…。骨折だけで済んだのですか?」
「入院ついでにオーバーホールを兼ねて軽い気持ちで色々と検査してもらったら、肺に心臓、十二指腸などあちこちが相当痛んでいるとのことで入院延長。もう1ヶ月になるんだけど、まだしばらくは幽閉の日々だ」
「いつまでも若くないのに深酒するからですよ。まだまだ世のため、人のために頑張ってもらわなくちゃいけないんですから気をつけてくださいよ」
「この歳になって初めての入院だけど大丈夫。鬼の霍乱だよ」
口では強がりを言っていますが、言葉の端々にいつもの快活さが感じられないのが気になります。
「怪我や病気に負けては先生らしくありませんよ。わたしの占いでは、先生はこれから、もうひと花咲かせると出てるんですからね」
「久しぶりにきららさんの声を聞いて元気が出てきたよwww」
「わたしの声でよければ何時間でもお聞かせしますから…。ホント、病は気から。今回の入院も『しばらく休息をとるように』という天の啓示と思ってゆっくり休むようにしてください」
「はいはい、“Dr,きらら”の言う通り、しばらく大人しく養生するようにいたしますwww」
「『わたし失敗しないので』――週末にお見舞いに行きますからね」