「選挙近し?」
残暑お見舞い申し上げます。
朝夕は小さな秋。
日中まだ夏。
暑さ寒さも彼岸まででしょうか。
Kさんは中堅代議士の公設秘書です。
選挙が近くなると決まってご来館。
もちろんお仕えする“オヤジさん”の当落鑑定です。
「お久しぶりです。お世話になります」
「こちらこそ。時々、先生のお顔をTVで拝見していますが、お元気そうで何よりです。さあさ、お座りになってください。今、挽きたての珈琲を淹れますからね」
「きらら先生の顔を見ると元気になります」
「あらあら、口は重宝。お世辞を言われても何も出ないわよwww。――どうしたの今日は? また選挙があるのかしら?」
「いえいえ。常在戦場――常に備えを怠らないのが、秘書の心構えですから…」
珈琲のいい香りが部屋中に広がる中、いきなり本論です。
「今日は“オヤジ”の11月から来年2月にかけての運勢の鑑定をお願いしたいと思いまして…」
「いつもと違って、随分と幅があるけど…」
「わたしたちも具体的なことは何も分からないのですが、あくまで、もしもの事態に備えてです。――2017年の選挙は楽勝だったのですが、一寸先は闇なのが政治の世界です。前回は前回、次は次です。何よりきらら先生に◎印をもらうと、わたし以上にオヤジが百人力になりますからwww」
大先生にそこまで期待されていると思うと責任重大です。
念入りに大先生の鑑定を開始。
「大丈夫。太鼓判を押します。向こう2年間は、いつ選挙があっても前回以上の大差で当選間違いなしよ」
Kさんの表情が緩みます。
「ありがとうございます。さっそくオヤジに報告します」
「但し、循環器に黄信号が点いているので無理をしないよう大先生にお伝えください。何をするにも健康が一番ですから…」
「実は…」
「いいのよ。それ以上はまたの機会にしましょう」
きらら(9/2)