「腐れ縁は離れず」
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。(金子みすゞ)
遠路、仙台から足を運んでくれたFさん。
スクリーンから抜け出てきた女優さんのような美しいお嬢さんです。
「付き合って2年にもなるのに、なかなか彼が結婚しようと言ってくれません。彼は本当にわたしと結婚する気はあるのでしょうか」
座るなり“直球”の相談です。
「まあまあ、珈琲でも飲んでゆっくり聞かせてくれる」
「でも時間が…」
「珈琲タイムはカウントしないので大丈夫。安心してゆっくり飲んでね」
しばしの四方山話。
落ち着いたところで、Fさんと彼の生年月日をお伺いして鑑定を開始。
「先生、いいことも悪いことも、はっきり言ってくださいね」
覚悟を決めた表情です。
「ひと言でいえば、ふたりは腐れ縁だわね。――知り合ったのは2年前の4月頃かな?」
「え~っと…そうです、そうです。でも知り合った時期って関係あるんですか?」
「出会うべくして出会った相手とは、100%上手くいくわね。――あなたが彼と出会ったのは、ちょうどふたりに『色情★』が回っていた時だから、吸い寄せられるように意気投合しちゃったのね」
「え~っ、『色情★』ですか。――何か嫌らしいニュアンスですねwww」
「まず、今のところ彼はあなたと結婚する気はないわよ。嫌いというのではなく、彼にとっては今のような中途半端な関係が一番、居心地がいいのよ。あなたもヤキモキしながらでも、彼と一緒にいると何となく安心してるんじゃないかしら」
「図星!――怖いなあ。じゃあ、ず~っとこんなズルズルの関係なんですか、わたしたちは?」
「腐れ縁は離れずと言って、なかなか切れないものだけど、来年の今頃に『縁絶ち★』が回って来るから、その時が結婚のチャンスかもね」
「その★が回って来ると腐れ縁が切れるんですか?」
「但し、それまであなたが癇癪を起さなければ…」
「よし!その日を楽しみにして、今まで通りの自然な形で仲良くお付き合いすればいいんですね。――珈琲のお代わりをお願いしてもいいですか~」