「令和元年」
令和の時代の幕が開きました。
マスコミは例によって大騒ぎですが、浮かれることなく地に足つけた歩みが大切です。
「元号が変わりましたな。こんにちは」
令和最初のお客さまはWさん。
「きらら館」開館以来の常連さんです。
「何はともあれ、きららさんの顔を拝みたくて馳せ参じましたwww」
Wさんは某ゼネコンの役員を定年で退職後、すっぱりと伊豆半島に移住して、奥さまと晴耕雨読の日々。
実に羨ましい老後を送っています。
「わっ、お久しぶりです。お元気そうで、こんがりと日焼けなさって…www」
「今では、すっかり伊豆の国の住人です。去年から畑以外に、花作りにも精を出しています」
「奥さまもお変わりありませんか」
「私より元気で…。東京にいるときはヨロヨロしていたのに、今では急な坂道でもスタスタと登ってますwww」
早速、Wさんの大好きなグァテマラ珈琲を淹れます。
「今日は大学の同窓会があって上京しました」
「アメリカに行かれた娘さんは?」
「もう完全にアメリカ人ですよ。昨年、孫を連れて帰国したんだけど、会話はすべて英語。理解はできるけど、完全に宇宙人と話しているみたいで、ホトホト疲れましたwww」
「昭和、平成、そして令和――わたしたち昭和の世代は、時代の流れが速すぎて、完全に取り残されたような…」
「振り返れば、特に昭和という時代は、苦労もあったけど、世の中が今みたいにギスギスしてなくて、それなりに良かったよね」
「そうですね。何か活気に溢れていて、人情も厚かったし…」
「まさか、『今だけ、カネだけ、自分だけ』が当たり前の時代に老後を送るなんて思ってもみなかったよwww」
珈琲をお代わりして、さらに話は弾みます。
「そうそう、この間、家内と犬の散歩中に、きららさんから頂いた秋田犬の花子が倒れていたタケノコ採りのお婆さんを見つけてね。表彰状を貰ったんだよ」
「そんなことがあったんですか。お手柄犬・花子!」
「“彼女”は聡明で、娘よりずっとわたしたち思いだwww。――ところでわたしと家内は幾つまで生きるか、観て欲しいんだけど…」
「またまた、そんなことおっしゃって。いくらWさんでも、寿命占いは原則としてタブーですwww。――人生100年時代!天寿を全うする、その日まで奥さまと一緒に楽しく、元気にお過ごしくださいませ」
「家内もきららさんに会いたがっているので、暇を見つけて是非、お越しください」
「はい。わたしもお会いしたいし…。G・Wが終わったら是非…」