「10年目の幸せ報告」
待望のゴールデン・ウィークです。
小旅行良し。
博物館めぐり良し。
読書良し。
家族そろって潮干狩りも良し。
そして故郷へ帰って親孝行もまた良し。
しばらく休日はありません。
……楽しい思い出を作ってください。
4月某日。
「こんにちは~。予約したSです」
年齢の頃は30歳代前半?
ハーフらしき赤ちゃんを抱っこした笑顔の女性。
「ご無沙汰しています」
どこかで会ったような記憶はあるのですが…。
自慢ではありませんが、一度でもお会いした方は、まず忘れない“特技”を持っているわたしなのに、う~ん、思い出せません。
「10年くらい前、Tホテルの新年イベントで先生に観ていただきました」
Tホテルのイベントで?
赤ちゃんが目を覚ましました。
なんと、彼女はフランス語らしき言葉であやしています。
フランス語だとすれば……ひょっとして?
思い当たるのは、東北地方某県の造り酒屋のお嬢さんです。
「間違ってたらごめんなさい。あなたのお生まれは東北で、確か実家は酒屋さん?」
「はい。その節はお世話になりました」
思い出しました。
同じ大学に留学中の彼との交際を両親に反対され、彼と別れるか、それとも勘当覚悟でフランスに駆け落ちするか(古いwww)――悲壮な表情だったSさんです。
「わたし、占いを観てもらうのは初めてだったのですが――あの時、先生に『ご両親が心配するのは尤もだけど、あなたの『人生★』は、自分の思うがまま伸び伸びと、独力で道を切り拓いてこそ輝く人よ。彼との相性度数は92点。バッチリよ。自分の信じた道を歩んでみては?』と言われなければ、現在の幸せはなかったと思います」
幸せオーラいっぱいのSさんが言葉を続けます。
「すぐに大学も中退、彼と一緒にフランスに渡り、すぐに結婚しました。両親は一生懸命、私を探してフランスまで来たのですが、それでも頑として帰らないわたしに根負け。渋々ながら許してくれました( ^)o(^ )」
「向こうで苦労はなかった?」
「自分が選んだフランス行きですもの。それに彼の家族がわたしをとても大事にしてくれましたから全然、不安はありませんでした」
「フランスでは何を?」
「ワイン用の葡萄を栽培しています。今では葡萄畑のオバサンです( ^)o(^ )。今度、先生にもワインを送りますからね。フランスでも評判の美味しいワインですよ」
「この赤ちゃんは初めての子ども?」
「ずっと出来なかったのですが、結婚9年目でようやく授かりました。――本当に先生には感謝の言葉しかありません。ありがとうございました」
「抱っこさせてくれる。女の子よね。わ~、可愛いわね」
ふたりの愛の結晶の重みに、占い師ならではの幸せを感じさせてくれたひと時でした。