「ぶり はまち 元はいなだの出世魚」
東京は毎日が零下。
寒すぎます。
地球は温暖化しつつあったのでは…?
これでは真反対の寒冷化。
一体、どうなっているのでしょうか。
ああ、寒い、寒い(ブルブル)。
かれこれ10年。
年に1度、節分の前後に足を運んでくれるKさんが、今年は2週間も早くお見えになりました。
「あれまあ、びっくり、びっくり!――どうしたんですか?――節分にはまだまだ間があるのに例年より随分と早いお越しで…」
「きららさんから丁重な年賀状を戴いたのに返事も出さなかったので、直接、新年の挨拶にお伺いしたんですよwww。遅まきながら明けましておめでとうございます」
「そんなに改まった言い方をされると緊張しますwww。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「今年で八十歳。老兵は消え去るのみなのに、憎まれ爺、世に憚るで、あれやこれやの雑事に追われていますwww」
喜寿を機に一線を退いたものの、Sさんの人柄を慕う方々が、毎日のように押しかけ、現役時代より忙しくなったとのこと。
「それだけ社会に必要とされているのですから、まだまだ頑張ってくださいな」
「そう言ってくれるのはきららさんだけだよ。家に帰れば、婆さん(㊟奥様のことです)なんか、『あっ、“明治時代”が帰ってきた』で、まったく会話にならないんだから…」
「また、そんなことを言って…www」
ここ数年のSさんとの会話は、占いというより、年老いた兄と少し年齢の離れた妹?のボヤキ混じりの人生談義です。
「平成生まれが30歳、そして来年には新しい元号。昭和生まれなんてひと昔前、わたしみたいな戦前派はふた昔前だな」
「時代が変わるのは当たり前なんですが、そのスピードが速すぎて…。モタモタしていると置いてけぼりですwww」
「しかし、どんなに時代が変わろうと、人が人である限り、変わらないもの、変えてはいけないものを後世に伝えるのが、年寄りの社会に対するご奉公だと
思ってな…」
そうした思いが、今なお多くの人を惹き付けるSさんのSさんたる所以。
次代を担う若人に慕われるSさんは、「理想の老人像」ではないでしょうか。
「微力ながら、わたしもSさんを見習わなければと思っています」
「『一簣之功』――きららさんにそう言われれば、もうひと踏ん張りしなくちゃいけないなwww」
Sさん、やおらポケットから取り出した手帖を見ながら一句。
「ぶり はまち 元はいなだの出世魚!」
さすがはSさん!――未来ある若い人に贈るのにピッタリの川柳です。