『 Do what you love and success will follow you』

『月到天心処

風来水面詩

一般清意味

料得少人知』 【清夜吟】

昨日、赴任先のインドから帰国したA君が訪ねてくれました。
A君は中堅の鉄鋼会社に勤務する“アイアン マン”です。

大学3年生のA君が初めて『きらら館』にお見えになった時の相談内容は就職問題でした。

「4社から内定通知を戴いたのですが、どの会社にすべきか、迷っているのです」

聞けば、鉄鋼会社を除いて、他の3社はわたしでも知っている大手の銀行、商社、電機。――贅沢な悩みです。

業種はバラバラですが、4社もの企業から内定通知を貰うこと自体、それだけA君が優秀だということの表われなのでしょうが、これでは「何をやりたいのか?」――さっぱり分かりません。

いつもは優しいわたしですが、こういう相談には例外的に「ガツン」と言うことにしています。

生年月日をお伺いして鑑定開始。

確かに頭脳明晰、加えて人柄も良く、二重丸どころか、三重丸のナイスガイ。
銀行には向きませんが、それ以外の会社なら、それなりに出世街道を歩めそうな強い運勢です。

「あなた自身は、どう考えてるの?」

「子どもの頃から憧れていたのは鉄鋼会社です。溶鉱炉が大好きなんです。あの真っ赤に溶けた鉄を見ているとワクワクするんです」

「だったら、なぜ鉄鋼会社に決めないの?」

「両親が、銀行か商社にしなさいとしきりに言うもので…」

「ご両親には申し訳ないけど、銀行は最悪の選択です。2~3年で嫌になって辞めるでしょう。商社と電機は可もなく不可もなくです」

「占いでは、どこが一番、向いていると出ていますか?」

「その前に、就職するのはあなたなのに、どうしてご両親の意見を気にするの?」

「一応、僕を育ててくれましたから…」

「でも、それと会社選びとは関係ないでしょ」

「ゼミの先生は、商社がいいぞ!と勧めるんです」

「先生には先生の立場があって商社を勧めるのでしょうが、問題はあなた自身ですよ」

「どうすればいいんでしょうか?」

「どうすればではなく、あなたはどうしたいの?」

「鉄鋼会社に行きたいのです」

「わたしも鉄鋼会社がベストです。四柱推命でも、タロット占い、星占いでも、鉄鋼会社が◎と出ています」

「そうですか。やったー!僕、鉄鋼会社に決めます!」

A君のニコニコ顔を昨日のことのように覚えています。

あれから4年。
昨日のA君の顔はさらに凛々しくなっていました。

「お仕事はどう?」

「毎日、楽しく、ワクワクしながら仕事に励んでいます。鉄は僕の天職、人生のすべてです。あの時、先生が『鉄鋼鉄会社がベスト!』とピシャリと言ってくれてなかったら、今頃は多分、銀行か商社に行っていたと思います。すべて先生のお蔭です。ブラジルでも時々、あの時の先生の怖いほどにwwwビシッとした表情を思い出していました。本当にありがとうございました」

楽しく、ワクワク仕事をする。――何事も「好きこそ ものの上手なり」です。

きらら(10/9)