「失敗は挫折に非ず。良き経験也」

熊本・大分地震。

一週間を経ても未だ続く余震。

加えて断続的に降る雨。

徐々に復旧しつつあるとはいえ、報道される被災地の無惨さに心が痛みます。

被災されたされた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

渋谷・きらら館 一同

3月某日。
とっても風の強い日でした。

もうそろそろお終いにしようと1階まで看板を取りに行った時のことです。
ひと組のカップルが「きらら館」の看板の前で何やら話しています。

男性は紅毛碧眼の外国の方ですが、女性の方はどこかで会ったことがあるような…?
ン!…Sちゃんによく似てるけど違うかなあ?

24005124089_63e16dec01東北M県S市内の某ホテルで開催された占いイベントに参加した際に知り合ったSちゃんは確か当時26歳。
その後、何度か上京した際に顔を見せてくれましたが、8年前に大学時代の同級生と結婚、彼の故郷の北海道に帰ったはずです。

わたしと目が会った女性が、微笑みながら会釈をしてくれました。
やっぱりSちゃんのような気がしてなりません…。

自慢するほどのことではありませんが、一度お会いした方のことは滅多なことでは忘れない”特技”の持ち主のわたしです(笑)。

思いきって声を掛けてみました。

きらら「Sちゃん、Sちゃんじゃないの?」

Sさん「うわ~っ。きらら先生、覚えていてくれたの。Sです。ご無沙汰で~す」

8年ぶりのご対面。
今やSちゃんはアラサー、わたしは”アラカン”(注:60歳越え)です。

きらら「うわ~っ!どうしたの? 北海道じゃなかったの?」

Sさん「あれから色々、あって…(笑)」

きらら「あの方はご主人?」

Sさん「はい。現在の主人です」

(はっ、現在の主人?)

きらら「もう閉館だし、良かったら上でご主人も一緒に珈琲でもどう?」

何やらふたりで日本語以外の言葉で相談しています。

Sさん「駅前のケーキ屋さんで買い物してから来るって言ってますから、わたしだけ先にお邪魔します」

8年ぶりの再会に珈琲で乾杯です。

きらら「びっくりしたわよ。渋谷にいるはずのないSちゃんが、しかも外国人の男性と一緒にいるんだもの」

Sさん「先生と最後にお会いしたのは北海道に帰った8年前ですよね」

きらら「そうねえ。8年って、アッという間だけど、わたしももうお婆ちゃんよ(笑)」

Sさん「またまた~(笑)。きらら先生は年齢不詳なんですから、いつまでも元気でいてくださいよ」

お代わりの珈琲を淹れて「きらら館」自慢の”小夏ちゃん”を切りました。

きらら「さっき『色々あった』って言ってたけど…」

Sちゃん「最初に結婚した彼とはDVが原因で離婚したんです。――きらら先生に鑑定して貰った時に、『この人とは水と油。今はふたりに色情★が巡って来ているので、何が何でも一緒になりたいと熱くなっています。距離を置いたお友達としてのお付き合いならともかく、結婚には大凶です』ってキッパリと言われたのに…」

きらら「若かったし、Sちゃんは思い立ったら百年目だから…(笑)」

Sちゃん「北海道での新婚生活は、幸せだったのは最初の3ヶ月だけでした。交際中とは性格が一変、お酒を飲んでは暴れるし、そのうちせっかく入った会社も辞めてしまうし、果ては姑さんから『あんたのせいで息子が~』って怒鳴られるし…わたしなりに努力したんですが、もう散々な新婚生活でした。それで、もう我慢も限界になって1年で離婚しました」

きらら「そうだったの。嫌なことを思い出させてしまってごめんね」

Sちゃん「でも、それも『きらら先生の忠告を聞かなかったわたしが悪いんだ』って自分自身に言い聞かせ、幸せになったら、きらら先生に会いに行こうと思って、またS市に戻って就職。そこで知り合ったのが県内の大学に留学していた現在の夫です」

きらら「彼はアメリカの人?」

Sさん「とっても優しいんです。アメリカのご両親もとっても良くしてくれるし、あと2年で大学院を卒業したら、アメリカに帰って向こうで生活する予定なんです」

きらら「そう。それは良かった!」

Sさん「前の主人と別れた後、心の支えにしていたのが、きらら先生に戴いた色紙に書いてあった『失敗は挫折に非ず。良き経験也』という言葉でした」

そこへ、大きなケーキの箱と花束を下げた彼が帰ってきました。 (続く)

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