「自分が変われば相手も変わる」-2-
お彼岸。
雨の中を信州までお墓参りに行ってきました。
トンボ帰りでしたが、やっぱり故郷の匂いは格別。
一刻の安らぎを与えてくれたご先祖様に感謝です。
(前回の続き)
わたしの「義母さまと親娘のような性格」という言葉に、Fさんが急に黙り込んでしまいました。
しばし、沈黙の時間。
Fさん「そうかもしれません」
珈琲カップを持ったまま頷くFさん。
きらら「良い所も悪い所も、ふたりはそっくり。だから結婚当初のちょっとしたボタンの掛け違いが、ずっと尾を引いていると思うの。何か、心当たりない?」
Fさん「心当たりですか?」
きらら「ご主人は女性に甘えたい性格で――そうね、少しマザコン気味じゃないかしら?」
Fさん「少しどころか、相当です(笑)」
きらら「ご主人とお義母さまは、それこそ”最高の恋人”のようにピッタリだし、おまけに長男ということもあって、それこそ掌中の珠のように大事に育てたはずよ」
Fさん、うんうんと頷きます。
きらら「その大事な”宝物”を突然、あなたに奪われてしまったんだから(笑)、そりゃあ、お義母さまとしたら、仕方がないこととはいえ、母というより女として、複雑な心境だったんじゃないかしらね」
Fさん「母親って、そんなものなんですかね?」
きらら「あなたも息子さんが年頃になったらお義母さまと同じになるかもよ(笑)」
Fさん「わたしは子どもより主人の方が大切だから、そんなことないと思うけどなあ(笑)」
しばし、場の空気が和みました。
Fさん「お義母さんとの”冷戦状態”を打破するにはどうすればいいですか?今さら、お義母さんに面と向かって『これから仲良くしましょう』なんて言うのも変だし…」
きらら「理屈で義母さまを変えようと思わないで、あなたが変わればいいのよ」
Fさん「わたしが?」
きらら「そう。――『自分が変われば相手も変わる』――親子、夫婦に限らず、他人との関係も同じだと思います」
Fさん「でも、具体的にはどうすれば…」
きらら「ふたりきりになった時に、あなたの方から自然な形でお義母さまに話しかけるのよ。――たとえば『今朝、主人がこんなこと言ったんだけど、お義母さんはどう思う?』とか、『来週、息子の授業参観日なんだけど、一緒に行って貰えませんか?』と話しかけてみるとか、とりとめもない話題でいいんだから。最初はぎこちないかもしれないけど、諦めないで頑張れば大丈夫よ」
Fさん「う~ん。わたしに出来るかしら(笑)」
きらら「お義母さまは、あなたと同じ性格なんだから、変わろうとしているあなたを見れば、『ああ、わたしが大事に育てた息子だから、こんな良いお嫁さんが来てくれたんだ』って思い直してくれるはずよ」
Fさん「なんか照れくさいなあ(笑)」
きらら「そりゃあ10年間のしこりを取るんだから、最初は照れくさいかもしれないけど『継続は力なり』――あなたが半歩下がって、お義母さまに接すれば大丈夫よ!」
Fさん「自信ないけど、頑張ってみます」
きらら「家出する勢いで上京して来たんでしょ。頭脳明晰なあなたが、何をそんな弱気なことを言ってるのよ(笑)」
Fさん「自信を持って頑張ります(笑)」
きらら「明日はお友達の”お見舞い”が終わったら(笑)寄り道しないで、さっさと帰るのよ。そうそう、お義母さまへのお土産を忘れないようにね」
Fさん「はい!」
きらら(3/21)