「『バカ』は愛情表現の裏返し!?」
先週は春一番が吹きました。
春二番、春三番が吹けば、本物の春です。
春はもうすぐ…。
待ち遠しい限りです。
一つの言葉で泣かされて
一つの言葉で大笑い
一つの言葉で喧嘩して
一つの言葉で仲直り
一つの言葉で氣がめいり
一つの言葉で氣が晴れる
一つの言葉で愚痴をいい
一つの言葉でありがとう
一つの言葉はそれぞれに一つの心を持っている
(ヒューマンウエア研究所代表・清水英雄)
これは行きつけのクリーニング屋さんに貼ってあったカレンダーの言葉です。
まさに「言葉」の持つ力を的確に指摘した名言です。
そういえば、某月某日のお客様・Hさんの相談も「言葉」に関するものでした。
Hさんは、3年来のお馴染みさん。
今日の相談は大学受験を控えたお嬢さんの件かしらん。
Hさん「主人と別れようと思って…」
予想は大外れ。座るなり、いきなりの”衝撃発言”です。
Hさんのご主人とは数回、お会いしたことがあるのですが、穏やかでユーモアたっぷりのナイスミドル。にわかには信じられません。
Hさんとの相性度も95点。◎付きのバッチリです。
他人も羨むおしどり夫婦なのに、何があったのでしょう。
きらら「藪から棒にどうしたの、一体?」
Hさん「聞いてください!――とにかく、最近の主人たら、わたしがちょっと失敗しただけでも、すぐに『バカ!』って言うんです。それも一日に何回もですよ。いくら鈍感なわたしでも、耳にタコが出来るぐらい『バカ、バカ』って言われたら、さすがに頭に来ますよ。これって言葉によるDVでしょ、先生!」
相性度95点のご夫婦にDVとは考えられません。
きらら「まあまあ、珈琲でも飲んで落ち着いて…」
Hさん「今まではバカって言われても聞き流していたのですが、毎日毎日、バカって言われたら…。我慢にも限界があります」
きらら「う~ん。ご主人の『バカ』という言葉は、一種の愛情表現と思うけどなあ。つまり『心からバカ』と思っているんじゃなくて、『可愛いなあ』と思えばこそのバカなのに、それを真に受けて離婚だなんて、Hさんらしくないわよ。今度、バカって言われたら『そんなバカに惚れて一緒になったあなたは、大バカよ!』ぐらい言い返してやればいいのに…(笑)」
Hさん「( ̄∇ ̄;)ハハハ、大バカか。それは名案ですね」
きらら「釈迦に説法かもしれないけど、言葉っていうのは読み方は同じでも、さっきも言ったけど『バカ』にも『憎たらしいバカ』と『可愛いバカ』の2種類があるように、言い方とか、その場の空気によって、相反する意味を持つことがあるのよ。ご主人の『バカ』を『好きだよ、愛してるよ』って受け取れば頭に来ることもないでしょ」
Hさん「そっかあ。主人は『好きだよ』って言うのが照れくさいから、真逆の『バカ』っていう言葉を連発しているのかしら?」
きらら「そうよ。バカって言ってる時のご主人の目は笑ってるはずよ」
Hさん「そう言われればそうですねえ」
きらら「Hさんとご主人は、『共に白髪の生えるまで』の”モデル”になるようなご夫婦です。毎日毎日、『愛してるよ』って言われるなんて、贅沢すぎる悩みですよ(笑)」
Hさん「よし、今日からは『バカ』って言われたら、にっこり笑って『ありがとう』って言ってみようかな(笑)」
きらら「どうもご馳走様!(笑)」
先程までの剣幕は何処へやら。
Hさんの帰りの足取りは、まるでスキップしているように軽やかでした。
きらら(2/22)