「『別れるべき夫婦』と『別れてはいけない夫婦』」
穏やかな天候のシルバー・ウィークでした。
お彼岸より少し早めにわたしはトンボ帰りで父母のお墓参り。
信州は既に秋の気配でした。
連休前の某日夕方、山陰地方某県から上京されたお客様がお見えになりました。
Jさん「ご無沙汰してしまいました。お久し振りです」
はて、どなたかしら?
お歳はわたしと同じぐらいです。
どこかでお会いしたような気はするのですが、咄嗟に名前が出て来ません。
きらら「?」
Jさん「初めてお会いしたのは、かれこれ10年近くも前ですが、Tホテルの新年鑑定会で…」
ヒントを戴いて、おぼろげながら…。
きらら「Tホテル?…えっ、ひょっとしてJさん?」
Jさん「はい。Jです。その節は色々とありがとうございました。」
きらら「うわ~っ!…何となく面影はあるのですが、すぐに思い出せなくてごめんなさい。でも、もう少しお痩せになっていたような…」
Jさん「そうよ。初対面の時は、主人のことで悩んでいた真っ最中で、体重は37キロ。それが今ではこの通りの“ヘビー級”。すっかり貫禄がついちゃって…(笑)」
きらら「体重より健康が一番(笑)。――お元気そうで何よりですよ」
Jさん「忘れもしないわ。――あの時は、もう放蕩三昧、家にもほとんど帰って来ない主人と離婚しようと決意、家出同然に上京、年末からTホテルに滞在していたのですが、誰かに分かって貰いたかったのかも…。占いは初めてだったのですが、正直、冷やかし半分の気持ちで、きらら先生に観て戴いたところ、『あなたたちは別れてはいけない夫婦です。おふたりは<共に白髪の生えるまで>のお手本のようなぴったりの相性です。絶対に離婚してはダメ。しばらくの辛抱です。3ヶ月もしないうちにご主人のお遊びも終了。必ずあなたの許へ頭を掻きながら帰ってきます。その時はガミガミ言わず、にっこり笑って迎えてあげてください』って言われて…」
きらら「わたし、そんな大胆なことを言ったの?(笑)」
Jさん「その時のきらら先生の言葉は日記に書いて、今でも大切に持っていますよ(笑)」
きらら「光栄です(笑)」
Jさん「半信半疑だったけど、きらら先生のお言葉通り。自宅に戻って2ヶ月目ぐらいかな、頭は掻いてなかったですが(笑)、『すまん。ワシが悪かった。もう一回やり直したい』って照れくさそうな顔で帰って来ました(笑)」
きらら「1ヶ月早かった…(笑)」
Jさん「腹の中は煮えくりかえっていたけど、先生に言われた通り、『お帰りなさい』って200%の笑みで迎えましたよ(笑)。それから以後は形勢逆転。あっちの女、こっちの女と遊び呆けていた主人も、今では気持ち悪いぐらい“模範的な亭主”です」
きらら「幸せ太りで、そんなに貫禄がついちゃったんだ(笑)」
Jさん「だから、一日も早くきらら先生に、報告とお礼を兼ねて上京しようと思っていたんだけど、しばらくして主人の両親が揃って寝たきりになっちゃって、それからはず~っと看護の毎日で、東京どころか、どこへも出られなくて、あっという間に10年。その両親も昨年と今年の初めに他界。悔いなくあの世に送ることができました」
きらら「偉いわねえ。ご両親もあなたに感謝しているはずよ」
Jさん「それもこれも、きらら先生のアドバイスのお蔭と思っています。本当にありがとうございました」
きらら「いえ、いえ。わたしのアドバイスというより、それがJさんの運命であり、ご自身の努力の賜物ですよ。それはそうと、お孫さんは?」
Jさん「お蔭さまで息子に2人、娘に1人。一番上はもう中学生。みんな良い子で、今は孫たちが健やかに成長するのが楽しみの毎日です」
きらら「『苦あれば楽あり』――最高の老後だわね!」
Jさん「ホントに、あの時、癇癪を起して離婚していたら、今のような幸せもなかっただろうし…」
「別れるべき夫婦」と「別れてはいけない夫婦」――男と女の組み合わせは、“味わい深いミステリー”です。
きらら(9/28)