「待てば自ずと晴れ間あり」

8340496211_5530d4646e9月に入って、朝夕は秋の気配。
夏の疲れが出る頃です。
しっかり睡眠を取るように心掛けてください。

最近、目立って多いのが「お仕事」に関する相談です。

Fさんが、初めて『きらら館』にお見えになったの一昨年の夏でした。

その時は、会社名はもちろん、職種もはっきりしていない段階で、「どんなお仕事が向いているか?」という漠然とした質問でした。

その際、わたしは、「人生には、『こうでなければならない』ということはありません。人生の岐路のひとつである『お仕事』も然りです。とにかく選択の幅を広く持ち、自分自身が燃えることができる、すなわち一生懸命になれる業種を選んでください。自分の希望以外にも、お給料とか安定性とか、色々な判断材料があるかと思いますが、Fさんに向いていない職種を挙げれば、たとえば公務員や銀行員など、世間から“堅いお仕事”と見られている職業です。才気煥発、個性的な魅力溢れるあなたは、決められたルーティンを恙無くこなすことを求められるお仕事には満足できず、早晩、嫌になるのではと思います」と、持論を交えて鑑定させて戴きました。

そのFさんが、ほぼ2年ぶり。7月の暑い盛りに、ひょっこりと訪ねてきました。

きらら「あらっ、久し振り~。元気だった?」

Fさん「ご無沙汰です。予約もせず、突然で申し訳ありませんが、今、大丈夫ですか?」

何となく暗い表情です。

きらら「1時間位ならOKよ!――珈琲にする、それとも麦茶にする?」

麦茶をお代りしたFさん、人心地がついたのか、ようやく口を開きました。

Fさん「1回しか来てないのに、わたしのこと覚えてくれてたんですか?」

きらら「わたしって、歳はとってもその人の顔と名前に関しては、自分でも驚くほど記憶力がいいのよ。他のことは昨日のことも忘れるんだけどね(笑)。――さて、ちょっと元気ないけど、何かあったの?」

Fさん「やっぱり、きらら先生のおっしゃる通りでした」

きらら「エッ、何が?」

聞けば、大学卒業後、誰もが知るメガバンクに入行。現在は、東京近郊の大型支店に勤務しているとのこと。

Fさん「わたし…今、お勤めしている銀行を辞めようと思っています」

藪から棒の言葉に、わたしも目が点です。

きらら「どうしたの? 分かるように話してくれる」

Fさん「確か、2年前ですよね、きらら先生に、就職について占ってもらったのは?」

きらら「よ~く覚えてるわよ。あの時のあなたは、目がきらきらと輝いていて…。とっても印象的だったから」

Fさん「あの時、きらら先生に、わたしに向かない職種は『公務員、銀行員などの“堅いお仕事”』って言われたのに、選りにも選って銀行を選んでしまって、今になって後悔しています」

きらら「まだまだ若いんだし、何事も勉強よ。反省は必要だけど、後悔はしなくていいわよ」

Fさん「きらら先生の鑑定は、心の隅に引っ掛かってはいたのですが、内定を貰った銀行の名前を言ったら、両親をはじめ、回りの人からは、『すごいじゃない』、『良かったわね』の声ばかりでした。それで…」

きらら「合併はあっても、まず倒産の心配はないし、給料の遅配もない。誰だってそう言うわよね。だけど、組織として『立派』ということと、その組織を構成する個人ひとりひとりが『幸せ』ということは別物。もちろん、『組織の立派さ』と、『個人の幸せ』が一致すれば言うことないんだけど、そうは問屋が卸さないのが人生。極端な言い方だけど、結局は組織に身を委ねて安泰に生きるか、多少のリスクを承知で、夢を持って自分のやりたいことに果敢にチャレンジするか。どちらを選ぶかは、それこそ『あなた次第です』だわね」

Fさん「遅きに失したかもしれませんが、わたしは後者を選ぶべきだったと、今になってつくづく思います(フ~ッ!)」

Fさん、溜息を連発です。

きらら「でも、もし急に銀行を辞めたら、田舎のご両親は心配されるでしょう?」

Fさん「そうだと思います。両親にしてみれば自慢の娘だし、田舎では銀行の名前だけで、稀代の親孝行娘になっていますから…(苦笑)。辞めるだなんて言ったら、卒倒しかねません」

再鑑定の要ありです。

きらら「Fさんの今年から来年の8月までの仕事運は陰の極の真っ只中、断じて退職の時期ではありません。もし強引に辞めると宙ぶらりん、どっちつかずになってしまう可能性が濃厚です。『待てば自ずと晴れ間あり』――時機を待つべきです」

Fさん「すぐに辞めちゃ駄目ですか?」

きらら「辞めるのはいつでもできます。それより“天の時期”が来る日まで、ボンヤリ過ごすのではなく、転職に必要な“充電期間”と考えて、次のお仕事に必要な資格を取るとか、勉強するとか、やるべきことは一杯あるはずよ。その間に田舎のご両親にも説明して、あなたの気持ちを判って貰わなければ…それこそ卒倒しちゃうわよ(笑)」

少しは胸のつかえが取れたのでしょうか、帰るFさんの足取りは軽やかでした。

 

きらら(9/7)

photo credit: アキアカネ (Autumn darter, Red dragonfly) via photopin (license)