「子孫に美田を残さず」

Fotolia_60127843_Subscription_Monthly_M『暑さ寒さも彼岸まで』――♪♪春が来た、春が来た。何処に来た~♪――改めて自然の律儀さに感心させられます。

1年に2度。毎年、お彼岸前に必ず足を運んでくれるAさんが、今年は20日ほど早く顔を見せてくれました。

Aさんは、御年80歳。傘寿です。
70歳まで現役として活躍。「物流業界にこの人あり」と謳われた知る人ぞ知る超大物です。

そして、引退後は業界とは一線を画し、ご夫妻で東南アジア某国に移住、ボランティア活動に精を出している篤志家です。

Aさん「こんにちは。きららさん、元気にやってますか?」

きらら「あら、会長!(わたしは、引退後も現役時代の肩書きで呼ばせて貰っています)。お久し振りです。会長も変わらずお元気そうで…」

Aさん「いやいや、最近はボケ気味で駄目ですよ(笑)」

きらら「いつ帰国されたのですか?」

Aさん「孫娘の結婚式で、一昨日に帰ったんだけど、何はともあれ、きららさんにご挨拶しなければと思って、お邪魔させて戴きました(笑)」

きらら「いつも以上に磨きのかかったお世辞で恐縮です(笑)」

Aさん「いやいや。本心からの言葉ですよ(笑)」

きらら「かつて会長の部下だったYさんからお聞きしたのですが、今春から初めての留学生がお見えになるとか…?」

Aさん「そうなんだよ。5人ほど東京の大学に留学するんだが、みんな優秀だよ」

きらら「その費用も会長が…?」

Aさん「もちろん。おカネはあの世に持って行けないし、『子孫に美田を残さず』――子どもに財産なんか残したって碌なことがないからね。わたしの代でお世話になったこの世にすべてお返しして行きたいと思ってね」

きらら「以前からの会長の持論ですよね」

Aさん「まだまだ、あの国は貧しいけど、若い子たちは、どこかの国と違って、自分たちの力で国を引っ張って行こうという気持に溢れているのが、何より嬉しいし、やり甲斐があるよね」

きらら「じゃあ、5人は会長が◎を付けた優秀な方ばかりですね」

Aさん「『留学後は必ず母国に帰って、どの分野でもいいから、国の牽引車になる』という条件に叶った学生たちだから期待しているんだけどね」

占いはそっちのけ。Aさんの近況報告は尚も続きます。(以下次号)

きらら(3/22)