「子どもの心はワンダーランド」―(2)―

トラックの女性翌々週、約束の時間より30分も早く、お嬢さんを同道したAさんがお見えになりました。
心なしか、Aさんの表情が、先日より穏やかな感じです。

Aさん「娘のKです。年末のお忙しいところ、厄介な相談で申し訳ありません」

Kちゃん「Kです。よろしくお願いします」

きらら「Kちゃんが、まだ小学生だった頃に会ったことがあるけど、随分と大きくなったわね」

Kちゃん「でも、クラスには私より大きい人が何人もいるし、ちょうど真ん中ぐらいです」

きらら「クラブ活動は?」

Kちゃん「2年生まではオーケストラでチェロを弾いていましたが、今は何も…」

きらら「どうして部活を止めたの?」

Aさん「学校から帰って来るのも遅いし、受験に備えて塾に行かせようということで、私が止めさせたのです」

きらら「Kちゃん自身は?」

Kちゃん「本当は止めたくなかったけど、お母さんが毎日のように『止めろ、止めろ』って言うから、揉めるのも嫌だから…」

きらら「ところで、勉強は嫌いなの?」

Kちゃん「そんなことないです。『勉強は自分のためだし、しなきゃいけない』と分かっています。でも、回りからあれこれ言われると、どうしてもしたくなくなるんです。私、頑固な天の邪鬼だから…(笑)」

きらら「そう。超のつく天の邪鬼ね(笑)。Kちゃんは、他人に頼らないで、自分で自分の道を切り拓く、独立自尊の星を持ってるんだけど、将来はどんな職業に就きたいの?」

Kちゃん「お母さんは、きっと反対するだろうから言わなかったけど、額に汗をして働くお仕事、例えばパイロットとか、貨物船の船長さんとか、あるいはクレーンの操縦士、ブルトーザーの運転手とか、“女の子らしくないガテン系の職業”に憧れています(笑)」

Aさん「まあ!」

きらら「いいわね。どれもこれも、Kちゃんにはピッタリのお仕事よ。私がKちゃんのお母さんなら、反対しないどころか、大賛成よ」

Kちゃん「ホント!…嬉しいな」

きらら「Aさん、時代は急速に変化しています。私たちの世代の常識を『斯くあるべし!』と若い世代に押し付けることは感心しません。Kちゃんは、しっかりと自分の将来の設計図を自分なりに描いています。その芽を摘んでいるのはAさん自身です。とやかく言わず、黙ってKちゃんを見守って上げる、そしてKちゃんから相談があったときに、初めて“助け舟”を出す。そういう接し方が、Kちゃんにはもっとも効果的なんですよ」

Aさん「そういえば、この前、きらら先生に言われた通り『勉強しろ』と言いたいのをぐっと我慢して、何も言わなかったところ、驚いたことに、翌日から自分の部屋に籠って勉強していました」

きらら「Kちゃんは、私たちの時代の中学3年生より遥かに大人ですし、今時の同年代の女の子と比べても、しっかりしています。親の役目は、自分の考えを押し付けることではなく、子ども本人が信じる生き方をアシストすることに尽きます」

Aさん「でも受験まで時間もないのに、大丈夫ですかね?」

きらら「Kちゃん自身、それは分かっているはずです。今からでも遅くありません。今まで、溜めに溜めたエネルギーを2ヶ月余りで“完全燃焼”させることができれば大丈夫です。それにKちゃんには、来年の2月から4月にかけて10代での最強運がめぐって来ます。Kちゃんならきっと合格出来ますよ。今は、Kちゃんを信じて黙って見守ってあげることが“ご両親の務め”だと私は思います」

Kちゃん「もっと早く、きらら先生に会いたかったな(笑)」

きらら「頑張るのよ。――『夢は大きく、そして夢を実現するためには最大限の努力を惜しむこと勿れ」――ビリでもいいから(笑)志望校に合格して、先生はじめ回りの人を驚かせてあげてよ。頑張ってね」

Kちゃん「合格したら、誰よりも早く、きらら先生に連絡しま~す」

きらら(12/29)

追伸

今年、最後の『週刊きらら』をお送りしました。
今年の寒さは格別です。
風邪など召さぬよう呉々もご留意のほど祈念しつつ年末のご挨拶とさせて戴きます。
どうか良い年をお迎え下さい。

きらら館・スタッフ一同