「日日薬(ひにちくすり)」

Broken heartR子さんが、予約の時間より30分も早く飛びこんで来ました。

R子さん「先生、私もう駄目~。辛くて辛くて、もう死にたい気持ちです」

昨年来、今回で3回目の来館です。
確か1回目は就職相談で、2回目は付き合っている彼との相性鑑定でした。

きらら「どうしたの? 涙で目の下が真っ黒よ」

就職については、私が「合格間違いなし!」と太鼓判を押した希望の会社に入社できたし、とすると彼とのトラブルかも…?

R子さん「いたんですよ、彼に。私の他に彼女が。それも私よりずっと年上の彼女と同棲までしていたんです(泣)」

想像通りでした。

きらら「まあ、コーヒーでも飲んで落ち着いて…」

R子さん「交際を始めて1年余り、会うたびに優しい言葉をかけてくれる彼を100%信じていたのに二股をかけられて…(泣)。先生、どうしたらいい?(泣)…この前、先生は『現在、付き合っている彼はあなたとは合わない。深入りしないように』ってアドバイスしてくれたのに、私は『そんなことはない。愛情さえあれば相性なんて合わせることができる』って大見栄切って、彼にのめり込んだ挙句に…(泣)」

「恋」は人の理性を失わせ、冷静な判断を鈍らせます。
そんな時には、いくら冷静になれと言っても無理です。
みんな自分本位ですから、どんな鑑定をしようと聞く耳を持ちません。

R子さん「『毎日のように好きだ、愛していると言い続けたのは嘘だったの。私を騙したの』って問い詰めたところ、彼は『そんなことはない。好きだったから本当のことを言えなかった。信じて欲しい』って言うんです。――もう彼のことを諦めるか、それとも今付き合ってる彼女以上に魅力的な女になれるように努力するか?…どうしたらいいのか分からなくなりました?…先生の意見を聞かせてください」

きらら「騙したとか、騙されたという問題ではないわ。彼に限らず、誰しも好きな相手を手に入れたり、引きとめたい時には都合のいい嘘をつくものよ。その嘘を許したうえで、それでも彼との関係を続ける覚悟があなたにあるのか? それともうひとつ、今回のように三角関係の場合、自分の立場だけでなく、相手の立場に立って考えることが大切なの。もし、あなたが相手の女性に妙なライバル心を持っているのなら、彼の事は諦めるべきね。人を不幸に陥れて得た幸せは、決して真の幸せではありません。占いでもあなたと彼は、瞬間的には燃え上がって消える線香花火のような関係です。それでもいいと、あなたが思うなら別ですが、この恋はいくら追いかけても無駄。それどころか追いかければ追いかけるほど傷口が深くなる嫌な展開になりそうな恋ね。まだまだ若いんだし、今はお仕事に集中すべき時期だわね」

R子さん「でも…」

きらら「大丈夫!――『人間は苦しみや絶望の経験があってこそ磨かれる』――どんな悲しみも時間、日日(ひにち)薬が必ず解決してくれるものよ。それにあなたには来年の暮れ、11月か12月に素敵な相手が現れる星が見えるわよ。その日に備えて当面は仕事に精を出して女に磨きをかけてください(笑)」

R子さん「自信ないけど、何かスッキリしたようで、少し気が楽になりました。頑張ってみようかな」

やっと、R子さんの顔に笑顔が戻りました。
ガンバレ、R子さん!

きらら(4/28)

Photo by katerha