「東京のお母様」

茶道先月、私が“東京のお母様”と呼ばせて戴いているT先生の『米寿を祝う会』がPホテルで開催されました。

T先生と知り合ったのは40数年前、かれこれ半世紀になろうとしています。

当時の先生は、結婚前の女性の“必修科目”だった料理、裁縫、茶道、生け花の他、お漬物の漬け方から赤ちゃんのおむつの替え方まで教える教室を主宰していましたが、オールマイティのうえ、まるで宝塚の男役スターのような颯爽とした雰囲気に惹かれた女性たちでいつも満員盛況。入室試験が2次まであるほどの人気ぶりでした。

評判を聞き、上京直後で右も左も分からない田舎者の私も良妻賢母?になりたい一心で入室。劣等生?だったにもかかわらず、以後2年間、1度も休まず熱心に通ったものです。

その勉強の“成果”が、現在の私の身に付いているか、どうかは甚だ疑問ですが(笑)、T先生には在室当時から何かと気にかけてくれ、卒業後も“母親”のように相談に乗って戴き、今日に至るまでずっとお付き合いが続いてきました。

3年ぶりにお会いしたT先生は、私たちより遥かに若々しく、年輪を感じさせない凛とした立ち居振る舞いは、集まった門下生の口々から「先生より私たちの方がお婆ちゃんみたい(笑)」と歓声が上がるほどでした。

きらら「ご無沙汰しています。“お母さん”もお変わりなくお元気そうで何よりです」

T先生「今日はどうもありがとう。お蔭様でこの年になっても、みんなの元気な顔を見ることが出来て感謝しているわよ。ところで、以前、紹介したM子さんから一昨日、電話があって、あなたの鑑定通り、おめでたが分かったそうよ。『大丈夫よ。来年夏頃には元気な赤ちゃんが産まれるわよって、あっさり言われたんだけど、今まであちこちの病院に通って全然ダメだったから半信半疑だったのに、その通りのおめでたに、さすがはきらら先生だ!』って随分、喜んでいたわよ。産まれたら是非、名前も付けて欲しいって言ってたから、その節はよろしくね」

きらら「“お母さん”の紹介ですから、親孝行のつもりで喜んで…(笑)」」

T先生「そうそう、来年3月に、あなたが結婚に太鼓判を押してくれた私の孫が式を上げる予定なんだけど、いつ頃、曾孫が産まれるかしら?」

良き縁は永遠に。――桜の花が咲く頃に、またひとつ“親孝行”が出来そうです。

きらら(11/25)