『無いものねだりの子守歌 』
どうにもならない天の怒りには打つ手なし。
爽やかな秋の到来には、もう少し時間がかかりそうです。
誰しもが口を揃えて「解党的出直し」を謳う自民党総裁選も大詰め。
メディアは何かのゲームのように報道合戦を繰り広げていますが、正直なところ中身は、国民生活は二の次の言いたい放題合戦。
果たして沈没気味の船を救うのは誰でしょうか。
しかし、誰がなろうと野党との連立内閣になるのは必定。
となれば、国民が願う政治の安定は“無いものねだりの子守歌”。
もう少し先の話かもしれません。
ところで“無いものねだり~”で思い出すのは、Fさんのボヤキです。
Fさんは、かつて「大手マスコミ某社にFあり」と評された政治記者で、現在は“永田町の散文屋”を自称するフリーライターですが、ある方の紹介でお客様として知り合ったのが縁で以後、決まって数ヶ月に1度、きらら館に足を運んでくれるようになった“非常勤の御意見番”です。
さて、久しぶりに来館したFさん、冷たい麦茶を飲むや否や、「日本の政治は終わったな!」と、いつもの穏やかな言葉とは裏腹のひと言。
――Fさんらしくない過激な言葉ですが、どうしたのですか?
「今の総裁選は完全に人気投票だ。こんな出来もしないことをあれこれ並べるだけの選挙で選ばれた議員が総理大臣になるんだから…」
――でも政治家は、国会議員に限らずすべてが人気商売。それは仕方ないのでは?
「モノには程度というものがあるだろう。総理大臣になって何をやりたいのか。あれもこれもやりますと言うヤツに限って、すべてが空手形になるのが政界の常識だ」
――例えば、狙い定めた“一点買い”こそに意義があると?
「そうだ。そりゃあ総理になれば多岐にわたる問題に気を配らなきゃいけないにしろ、この内閣は『これをやります』ということを高らかに宣言しなければいけないというのがわたしの意見だ」
――今の時代なら、それは何ですか?
「国民生活の安定しかないよ。かつての中産階級が消失、少数のリッチ階級と多数のプア階級が占める現在の状況に慣れてしまっては、それこそが日本国崩壊の原因ということを肝に銘じなければ…」
――でもSNSなどで、誰もが不平不満を口にできる時代だから、そうした意見も無視できないし…。
「そこを上手く差配してこそが日本丸の船長だろう。それが出来ないようなら、最初から船長選に手を上げちゃイカンよ!」
Fさんの国を思う“無いものねだりの子守歌”は止まりません。
※Fさんの話は実名混じりのリアルなモノでしたが、適宜、省略・訂正、柔らかい表現に変更しました。




