「占い師の本懐」

ホントに久し振り。
10年以上前になるでしょうか。
わたしが、まだ池袋の百貨店の占いコーナーに出演していた当時のお客様・Sさんが、ひょっこり顔を出してくれました。

「あっ、きららさんだ!――やっと会えたわ。探したのよ」

「ひょっとしてSさん?――確かアメリカにお嫁に行ったのでは?」

「今もアメリカよ、ロサンゼルス。父の具合が悪くてお見舞いに…」

「そうだったの。――お父さまの具合はどうなの?」

「お風呂場で倒れて…。年齢が年齢だから、大事をとって入院しているんですけど、退院したら、母と一緒にどこか老人施設に入居させようと思ってるの」

「アメリカでの結婚生活はどう?」

「主人は優しいし、2人の子どもにも恵まれて…。おかげさまで幸せな生活を送っています。あの時、両親、兄妹をはじめ親戚一同が、彼との結婚に大反対するなか、きららさんだけが、『結婚するのはあなたでしょ。絶対に幸せになれる相手だから、誰が何と言おうと結婚しなさい!』と背中を押してくれたんですよね」

「そうだったかしら(笑)…ご主人はアメリカでお留守番?」

「明後日、子どもたちと一緒に日本に来る予定です」

「子どもたちは幾つになったの?」
「上の子が男で8歳、下が女の子で6歳です」

「うわ~っ。かわいいでしょ!」

「下はわたしに似て可愛いけど(笑)上は主人に似て生意気で…」

占いはそっちのけ。
まるで実の娘が里帰りした時のような会話です。

「きららさんは、わたしたちを結婚させてくれた氏神様よって主人に言ったら、是非きららさんに会って御礼を言いたいと言ってるんですけど、ここへ連れてきていいかしら?」

「もちろんよ。わたしも会いたいし…チビちゃんたちも一緒にね」

「かしこまりましたwww」

あっという間の心くつろぐ1時間。

これぞ占い師の本懐です!

きらら(11/19)