『深夜の国際電話』
某月某日午前零時ごろ。
「おかん?」
「はい、はい。久しぶりだね。元気?今、どこ?」
「南アフリカだよ」
「え~っ、南アフリカってアフリカ大陸の下の方の?」
急いで地球儀。
なるほど、なるほど!
「もうすぐケープタウンに入港で~す」
「南極に近いわよね、南アフリカって。寒くないの?」
「まだ、寒くないよ。ペンギン鳥の群れが船の横を泳いでいるよ」
「ペンギン?」
「船が近づくと餌をくれると思って寄ってくるんだよ」
「動物園でしか見たことないけど、可愛いでしょ」
「あんまりいっぱいいるので全然、可愛くないんですけどwww」
「今日は上陸できるの?」
「アイアイサー!」
「何、それ?」
「テーブル・マウンテンには行ってみようと…」
「何なの、テーブルなんとかって?」
「何も知らないんだね、おかんは。後で、ネットで調べてよ」
「だって、行ったことないんだもの」
「いつか、連れてってあげるよ」
「外国より日本の温泉に行きたいな」
「今、南アフリカに行きたいって言ったくせに、日本の温泉かよ?銭湯にでも行ってこいよwww」
「お土産は何があるの?」
「ルイボスティー!」
「何それ?」
「ナ~ンも知らないんだねwww」
ルイボスティーはカフェインのないお茶のようです。
「後はワインかチョコレートぐらいだね」
「赤ワインをお願いします」
「おとんは?」
「もう寝てるけど、絵葉書でいいんじゃない?」
「おかんはルイボスティとワインで、おとんは絵葉書かよ!www。あと15分で入港だから電話切るよ。風邪ひくなよ。またね」
「ケガしないようにね。それじゃあね」
電話の相手は息子から。
きらら(10/23)