『男の顔は履歴書』

残暑もないまま?一気に秋。

しのぎやすい毎日になりましたが、今年は秋分の日(23日)が土曜日と被って休日を1日損したような気分です。

きらら館には男性、それもなぜか御年配の方が多く足を運んでくれます。
いずれも功成り名を遂げた方ばかりなので、ほとんどの場合、相談というより、わたし自身が“講義”を受ける“生徒”です。

今日の午後一番のお客様は御年80のSさん。
多くの企業を徒手空拳、一代で築き上げた立志伝中の人物です。

「きららさん、こんにちは」

「ようこそ。S会長もお元気そうで…。秘書の方は車の中ですか?」

「だいぶ涼しくなったので今日は地下鉄に乗ってひとりで来ましたので、車に飲み物の出前は結構ですよ」

S会長ご指定のルイボスティーを淹れます。

「きららさんが淹れてくれるお茶は格別ですな」

「心を込めてお淹れしてますから…www」

「さすがはきららさん。最近は、同じことでも、心が入った仕事と、そうでない仕事の出来栄えの違いが分からない社員が多くてな」

「何でもコンピューターの時代のせいでしょうかね」

「そうだな。コンピューターは便利な道具だけど、すべてをイエスかノー、白か黒で割り切ってしまうからなあ。人間自体が割り切れない、グレーの塊のような存在なのに、無理に白か黒、どちらかに決めつけようとするから、優秀なのだが、味がないというか、のっぺらぼうみたいな無機質な社員が多くなったような気がするなあ。人間の魅力というのは知識の量とか学歴ではなく<豊かな人間性>が、あってのものなのだがねえ」

「AIの進歩で、そのうち人間が要らなくなるんじゃ…」

「ロボットは、24時間働いても文句も言わないし、そりゃあ便利だけど、どこまで行っても、世の中は<人間中心>でなくっちゃ。色んな会合で多くの経営者と会うけど、2000年頃からかなあ、世間で成功者、名経営者といわれている彼らの顔に、それなりのシワはあってもwww、その人の<歴史>が感じられないんだな」

「<歴史>ですか?」

「昔から『男の顔は履歴書』っていうけど、その履歴書が真っ白な人間に、わたしは魅力を感じないね。男前だとか、そうでないとかの問題じゃなくて、その人の足跡が刻まれた顔の持主こそが<一級の人間>だな」

「『女の顔は履歴書』とは言わないんですか?」

「女性が表舞台にドンドン進出しているから、いずれはそんな言葉も出来るだろうが、この先、10年や20年は、まだ女性には履歴書はないだろうなあwww」

今日のSさんの“講義”はいつになく熱がこもっています。

「お孫さんは元気に学校に通っています?」

「きららさんに命名してもらったお蔭なのか、風邪ひとつ引かず、スクスクと育っているよ。母親はヤンチャぶりに手を焼いて、休日なんかクタクタになっているようだけど、男の子はそれぐらいでなくちゃなwww」

「3代目は息子さんがお継ぎになるんですか?」

「現在は専務で“修行”させているが、50歳を越えているというのに、未だに顔付きに味がないし及第点にはイマイチだな。会社経営に、わたしの血を引いている必要もないし、2代目同様、3代目も<人間味あふれた顔をした人物>が就くべきだと思うな」

「厳しいんですね」

「人間関係には<情け>が必須だけど、会社経営は別だ。大きくなると、多くの社員たちの生活も掛かっているし、<公器>だから、そこに親子云々なんて挟んではいけないよね」

「男の顔は履歴書」――Sさんに今日もまた、新しい言葉を教えていただきました。

きらら(9/11)

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