『傘寿、おめでとうございます』

今日、午後一番のお客様は、毎年1回。誕生日の日に「きらら館」に足を運んでくれる某大学工学部の名誉教授・A先生です。

御年80歳、傘寿。

背は高く、きれいな白髪。杖こそ突いていますが、10歳ほど若く見えるナイス‐ジェントルマンです。

「やあやあ、遅くなって…」

「暑い中をわざわざお越しいただいて…。お待ちしていました」

「よっこらしょ」

先生がお好きなルイボスティーを淹れます。

「お誕生日、おめでとうございます」

「徒に馬齢を重ねて80回も誕生日を迎えられるとは、嬉しくもあり、悲しくもありだなwww」

「先生にはもっともっと長生きしてもらわなくてはいけません」

A先生の場合、「占い」というより大抵の場合、わたしの方が“生徒役”の個人授業wwwのようなものです。

「先生、今日は何の授業でしょうかwww」

「いやいや、今日は授業でなくて、数日前に生まれたひ孫の名前をつけてもらおうと思って…」

「というと、以前、お連れになったあのお孫さんのお子さん?」

「そう。ついこの間まで子どもと思っていたら、結婚した途端に、その子どもが“子ども”を産むんだから…www」

「家内からも『初めてのひ孫だから是非、きらら先生に命名してもらいなさい』って厳命されたから、飛び切り上等の名前をお願いしますwww」

「分かりました。A先生にそこまでお願いされたら、お引き受けしないわけにはいけませんね。赤ちゃんの生年月日と生まれた時間をお願いします」

赤ちゃんは女の子。
誰からも好かれる優しい性格の女の子になるような名前が希望です。

3日後に、お手紙でお知らせすることをお約束して、後はいつもの時事問答です。

近時、混乱続きの政治のこと、従来の常識が通用しなくなった経済のこと、先生の専門分野の人工知能(AI)のこと、そして十代の若者の活躍著しい将棋、卓球のこと、そして芸能界のことetc。――盛り沢山の話題で、あっという間の1時間でした。

A先生、いついつまでもお元気で。

きらら(6/26)